So Be It

見た映画の感想。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

ウォー・マシーン 戦争は話術だ!(War Machine)

なかなかの問題作。

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ラキース・スタンフィールド出演作品攻略の一環で視聴したのですが、思いがけず色々考えさせられてしまった映画でした。

 

2010年、米軍をアフガニスタンから撤退させる意図でマクマホン陸軍将軍がアフガニスタン駐留軍の司令官に就任する。マクマホンは部下からの信頼も篤いカリスマ的軍人で現場の現状報告を一通り受けた後、タリバンの影響力が強く手付かずとされている地域に進軍し、村をテロリストの脅威から解放すると宣言する。しかし撤退目的でマクマホンを送った政府は当然新たな兵を送り込むことに同意しない。そこでマクマホンは同盟軍に増兵を要請すべくヨーロッパへ向かう。

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2009年にアフガニスタン駐留軍を撤退させると大統領が宣言したにもかかわらず、増兵し、戦死者がどんどんと増え続けるという事態が起こり続けた一つの理由のようなものをコミカルに描いている。

軍人のものの考え方が現実とズレだすととんでもない悲劇を生むというか。

軍隊とは戦うために特化した集団で有事には命をはることになる。

自分たちの安全と平和を守るために自らすすんで犠牲になる道を選んだ人々に文句をつけるのは心苦しいものがあるのも確かだが、進軍する時に虫や花を踏み躙らないで済む方法はないだろうかというようなことを考えられる人がいるというのでもない限り、丸く治るということはありえなさそうだなぁと。

 

自分でも驚いたのだけれど、映画を見ていくうちにマクマホンに対して気の毒さを覚えてしまった。

悪い人ではないのだというのはわかるし、部下のことも心から思いやっているし、何というか話せるところも持ち合わせているので悪い上官でもない。

平和と自由をもたらしたいというのも心から思っていることなのだろうとは思うし、彼の熱意がからまわりするのを見るのはどことなく痛々しい。

ただ、彼の場合は痛々しいだけで済むが、その周辺はそうは行かない。 無駄に攻撃され、家や生活、愛するものを無意味に破壊される。

子供を殺されて「君たちのためなんだ」と言われても...。

なんでもええから帰ってくれとしか言いようがない。

 

ラキ兄は理屈の合わない中で延々と続く生死と隣合わせの生活で心が壊れる寸前の兵士を演じている。

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彼の動揺と怯えをマクマホンは全く汲み取ることができず、結果的にラキ兄演じる伍長がマクマホンの言葉に煽られ、恐ろしいテロリストと戦っているのだと信じて放ったランチャー(?)が村人の幼い子供の命を奪ってしまう。

攻撃してきたから反撃したというが、村人も重装備の外国人が侵入してきたから武装し、攻撃した。 「スリー・キングス」のことを思い出したりもしながら、戦争をやめることがいかに難しいのかということを思い知らされた気がした。

 

出番はとても短いしセリフも少ないのに、伍長が掻い潜ってきたものの過酷さを一目でわからせることのできるラキ兄の俳優力の凄さをまたまた堪能することのできる一品。

情緒不安定ぶりから完全に心が壊れるまでを見せつけてくれた。

そしてマクマホンに向けた眼差し。

ラキ兄がそこで見せた現場で戦う兵士の過酷な心理状態は作品のトーンからやや浮き立つほどの重さなのだけれども、でもだからこそ、マクマホンを気の毒がっている場合ではないということをはっきりと認識させられる。

彼は何度もマクマホンに問いかけていた。その問いにきちんと答えられなかったことでこれまでの考え方を改める、せめて考え直す、自分の認識と現実のズレをまったく見ようとしなかったマクマホンの罪はやはり大きい。

あ、あと何気にラッセル・クロウが。


追記: ラキ兄のインタビューで、「映画俳優としてやっていけると実感したのはいつですか?」と尋ねられて、この作品をあげていた。なんでも初めて海外ロケを経験して、感無量すぎて涙が止まらなくなったそうだ。撮影に入る寸前で慌てているとアフロ・アメリカンの共演者がどうせそういうシーンだから大丈夫と励ましてくれたとか。アジトに攻撃に行くシーンかな?

 

私の好み度:⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 49%

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