何だか奇妙。
"Collateral Damage"が"巻き添え被害"だから"Collateral Beauty"は.....えええっとー???
かなり奇妙な映画だったように思う。
というか、それをそこで明らかにされてどうリアクションすればいいのか面食らうというか。
「えええ??ってことは、ちょっと待ってちょっと待って、えええええ???」
と、脳内で動揺してそこから立ち直るまもなくエンドロール。
いや、えっと、これは怖い話だったのか???
それとも普通に「ええ話」として受け止めればいいのか???
実のところ全然複雑でも何でもない話だと思うのだけれども、あの流れでバラされると、これは単に「ええ話」ではなかったのかという疑惑がついつい頭をよぎるというか。
2年前に6歳の娘を失ったハワードは心をすっかり閉ざしてしまい、仕事も手につかない状態。おかげでハワードの会社の経営状態は悪化し、共同経営者であるホイットとクレアとサイモンはまだ高音がつくうちに会社を売却することを考える。
しかしハワードが1番多くの株を所有しているので、ハワードが会社売却を承諾しないなら、責任能力があると判断できる精神状態ではないと証明し、ハワードの承諾がなくとも会社が売却できるよう、3人の俳優を雇ってハワードにとある芝居を仕掛けさせる。
子供を失った親の悲しみというのは、それはもう想像を絶するものだろうし、その悲しみや痛みが癒えることは決してないだろう。
しかし、それでも人生を続けていかなくてはならないわけで、その悲しみや辛さとどう折り合いをつけて前を向くか...という話ではあるんだろうとは思うのだけれども。
病気が再発し、今度こそ死は免れそうにないというサイモンは例外として考えられないこともないけれど、ホイットとクレアの裏切りはなかなかエグいのではないかと最初感じて。
それでもハワードが「これは正しいこと」と受け入れていたから、まぁハワードがいいならいいんだけどさぁ...みたいな感じの納得だったんだけれど、そこから明かされるハワードの真実というのが、ビックリというか全然予測していなかったことだったので、なるほど、だったらホイットとクレアとサイモンがあのビデオを作ろうと思ったのも無理ないこと....なのか???でもだからと言って捏造テープを使うっていうのは....。
多分、この映画の主旨としてはそんなところに引っかかっているんじゃねーよってなことなんだと思うけれども。
いっそまだ世界ドミノ選手権を目指しているオチの方がスッキリしたかも。
5日で並べて、しかもあの完成度ってすごいよハワード。
でも上司がドミノにハマってああやって会社の部屋で並べられたら、うっかり倒そうものならクビにされそうで従業員としてなら絶対嫌だなぁ。
Collateral Beautyというのはこの流れでいくと、ハワードが自ら記憶を歪めたにも関わらずまたエミリーに引かれたことがCollateral Beautyということなのか。
それともびっくりするぐらいドミノの腕前が上達したことこそがCollateral Beautyということなのか(←絶対に違います)。
このハワードとマデリンの関係というのが、ハワードの言葉にしたがって他人のふりをしていただけなのか、それともそのくらい本格的にハワードの心が壊れたものだからマデリンは辛抱強くハワードの心が癒えるのを待っていたのか。
「他人だったらよかったのに」っていったハワードは、それを本気で思い込むようになったのか。でもやっぱり”ふり”をしていただけだったのか。
いやでも娘を失ったことからの鬱だから、「ふり」なんかではなかったと思うけれども、でも、セラピーセッションを見に行ったりしていたのは、そろそろ夫婦で話あう頃合いかと思ったということで別に奥さんであることを忘れたわけじゃないのかな。
しかしそうなってくると、気の毒だったのはハワードに振り回された3人ということだったのか???
いやでもなぁ。
1番ご冗談でしょうと思ったのが、最後のどうやらあの3人の俳優はホンモノでした〜っぽい流れなんだけれども、あれはあくまでもハワードの心の中ではということなのか。
でもマデリンが病院ですでにあっているわけだからぁ....。
サイモンとも組んでるしな.....。
娘との関係修復に悩んでいるホイットと組んでたのはエイミーだし、妊娠適齢期が過ぎる前に精子バンクを利用しようと子供を産むことを考えていたクレアと組んでいたのはラフィだしなぁ。
もしもホンモノだったなら...拍手まで送ってあげたサイモンが可哀想じゃないかよー。
芝居も観たがってたのにさー。
それにしてもこんだけ精神的に辛い役をよくやったなぁ...というか、やっぱり精神的に追い詰められまくる役が好きなんだね、ウィル・スミス...としかもう思えないよ。
関連インタビュー
ウィル・スミス、お父様を亡くされたところだったので、ロスと向き合うのにこの映画はちょうどいいタイミングだったとか。
辛くて悲しい最中でも何か面白いこと笑えることを見つけるというのが自分のスタンスとウィル・スミス。それってエディ・マーフィも言ってたー!
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️/5
🍅: !4%