人間と一緒にいてくれてありがとう言いたくなる感じ。
オマール・シーが郵便配達をがんばって、でも電報にとって変わられちゃってわんちゃんたちとお別れする。
パックが他のワンコたちを思いやれるコというのはわかったけれど、元々の犬ぞりリーダーのスピッツはあの後どうなったんだろうとか、パックを残してあの強欲な人間たちのソリを引いていったワンコたちはどうなったんだろうとかまぁ。
本物の動物たちに負担をかけることなく動物の映画の撮影ができるのはいいことだとは思いつつ、存在しないワンコたちと演技する俳優さんたちの想像力と集中力がすげーなーと。
アラスカでゴールドラッシュがあって人々が集まってきて。 犬がいっぱい必要とされたからパックが誘拐されたんだけど、そんな暖かい土地で生まれ育ったワンコをただでかいからという理由だけで北に強引に送りこむってなんて乱暴なと思ったけれども、オマール・シーがパックの次の飼い主様として登場するのでちょっとぐうの音も出なくなるというか。
あれ、これってワンコとアフロ・アメリカンの人たちの境遇を重ね合わせたりする話なの???とかって感じで。
そもそもアラスカってカナダのようでアメリカなんだけれどもどういう経緯であそこだけポコんとアメリカになったのかと思いきやロシアから1867年に購入したっていうからなんだかびっくり。
それまではロシアの植民地になっていたそうな。
アラスカでゴールドラッシュが起こったのが1899年から。
パックが南部からつままれてアラスカに労働力として連れて行かれたようにもしやアフロ・アメリカンのひとたちもなのか???とか思ったり。
自分の意思だったのか強制連行だったのかまではわからないけれども、アラスカの道路やらの工事の担ったのは紛れもなく黒人の人たちだったわけで。
アメリカの奴隷制度から逃れるための多くのアフロ・アメリカンの人たちがカナダに逃れたということらしいから郵便配達が犬ぞりから電報にとって変わられた時、オマール・シーがケベックに戻ることになったのもそういうことなのかなぁとか。
と書きつつ検索していたら1942年に行われたユーコン川からのルートに変わるアラスカの道路のための工事は95、93、97連隊の黒人の兵士の人たちが送り込まれたそうな。
彼らはテントで生活し、白人のエンジニアたちが暮らせる建物も作ったとか。
そうか軍隊とは別に戦地に送られるだけじゃないんだなぁとここで初めて思い至ったり。
なんとなく陸・空・海軍とある中で陸軍が一番下に見られがちな印象もあるのもそういうことも背景にあったりするのかしらとか。
この「The Call Of The Wild」はジャック・ロンドンという人が1903年に出版した小説が原作。
このジャック・ロンドンはカリフォルニア生まれで14歳で高校を一旦中退し、アメリカのあちこちを放浪。で、一旦高校に戻って卒業し、それからまた放浪してアラスカに。
そこで一年過ごした時に感じたことをもとにして書き上げた小説だということ。

The Call of the Wild, White Fang and Other Stories (English Edition)
- 作者:London, Jack
- 発売日: 2021/05/22
- メディア: Kindle版
イタリアやユーゴスラビアでは一時期自由すぎるという理由で禁書になったことがあるとか、ナチスドイツでや焚書されちゃったとか。
これが自由すぎるって....意味がわからないな...。
ワンコが野生に目覚めて狼と一緒になったというお話にいちいちめくじら立てちゃう時代なんてもう二度と来てほしくないですね。
なんとなくエディ・マーフィのドリトル先生パート2を思い出しちゃいました。
あれもサーカス育ちのクマさんが野生に戻ろうと奮闘する話だったからなんでしょうか。
見終わって、なんとなく人間のそばにいてもいいよって思ってくれた動物たちに「ありがとー」と言いたい気持ちになったのでした。
その期待や信頼に全力で応えられる存在でありたいよね。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 62%