驚いた。
「イドリス・エルバが馬乗ってるー!!!😆」だけで飛びついたものですからラストで実は劇中に登場していた人たちがホンモノのカウボーイの皆さんと知ってあんぐりと驚いたのは言うまでもなくございません。
えー、みなさん演技がとっても達者でいらっしゃるー!!!!という驚きもついでに。
実話というか、アメリカの北フィラデルフィアにカウボーイの末裔たちが馬と一緒に暮らしているということが事実としてあって、そこを舞台にした物語。
カウボーイが白人だけでないことも、もはや私の中ではすっかり定着。
実際にはカウボーイの4人に1人が有色人種だったとか。
産業革命は馬がメインの移動手段だったわけなので都会に馬が多いのも、その馬たちのケアをしていた人たちがいたのも当然なわけで、言われてみればそうなんだけれども、全然思い至ってなかったなぁと。 車や列車に移動手段がとってかわるようになった時、それまでの移動手段であった馬たちや馬たちをケアしていた人たちはどうなったのかということとかも。
今もなおジェントリフィケーションで馬小屋や住処を追われつつある現実。
街を活性化させるために高所得者や富裕層が集まるようにするというけれど、元々住んでいた人たちはどうなるのか。
コミュニティを破壊され、住処を追い出され、見知らぬ土地でまた新たに生活基盤を作っていかなくてはならない。
原作付きであるせいかちょっと細かい事情がすっ飛ばされていたりするのだけれども、馬との絆、カウボーイとしての矜持と誇り、コミュニティの繋がりがどのように彼らの人生の支えになっているのかということなどがノスタルジックに美しく、そしてほろ苦く。
物語は15歳の少年コールの目線で進む。
デトロイトで母親と暮らしていたコールは学校でケンカを転校先でも繰り返すなど素行が目にあまり母親はフィラデルフィアの父親の元にコールを強引に連れていく。
コールの父親はカウボーイの集う通りで馬とカウボーイ仲間と暮らしていた。
自分よりも馬が大切にされていると感じたコールは反発心から、幼馴染であり今は麻薬の売人となっているスマッシュと一緒にいることに心地よさを覚える。
自分や家族を路頭に迷わせないだけでも大変であるなか、馬のことも家族同然に、時に家族以上に大切に慈しむ。
見知らぬ土地に連れてこられ、労働力を搾取され、必要がなくなれば切り捨てられる。
その似たような境遇が一段と馬と彼らの絆を強くするのだろうかとも思ったり。
少年が一夏の経験を通して少し大人になるというGrowing-Upものとしてとても良心的な仕上がりになっていたと思う。
イドリス・エルバが演じていたパパンは昔相当悪かったけれど羽振りはめっちゃよかったという過去持ちで、ついつい”The wire“のストリンガーが生きていればこんな感じになってたかもとか思っちゃいました。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 80%