面白かった!
オープニングで早速「わー!!!ポワチエさんが歌ってるぅ!!!」と姿も写っていないのににやけてしまいましたとも。
護送中、豪雨で護送車が転倒。囚人のカレンとジャクソンは隣り合って座っていたため手錠で繋がれていたので一緒に逃亡。カレンは黒人でジャクソンは白人であるため、お互い歪みあって遠くまで逃げられないだろうと追っ手は予測する。
この2人の間に露骨な憎しみはなくジャクソンが次第に自分がなぜそのようにカレンの存在を下に見るような振る舞いをしてしまうのかということを徐々に認識していく。
ジャクソンもホテルボーイとして日夜働いてきてお金のない生活をしているので当初は自分だって辛酸を舐めているという思いの方が強いのだけれども、実はお互い似たような境遇でありながら、なおかつ自分が白人だということでカレンに対して若干優遇されることに気がつくというか。
まぁ優遇というほどでもないのだけれども、カレンも自分も同じ脱獄犯であるにも関わらず人々はカレンに対してよりも自分に対して警戒心を解くという場面に遭遇する。
加えて、カレンが自分を利用したり出し抜いたりすることは究極の状況に置かれていたにもかかわらずなかったということに気がついたりして。
あの保安官があくまでも生きて捕縛することを優先してくれて良かった。
あとこの頃からワンちゃん愛の方が人間愛よりも優っているのも面白かった。
結末は結構驚いてしまった。
というのも「逃げないのか」と。
捕まればカレンの場合、ちょっと刑期が伸びるだけでは済まず終身刑なのではないだろうか...と思ったからだ。 もしくは殺されてしまうか。
本来なら「最後まで裏切らなかった」とか「友情を優先した」とかで感動するところなのかなとか、保安官も優しそうな笑顔を見せていたし、今後出所しても2人はいい友達で...なんて爽やかな予感を感じたりするところなのかもしれないけれど、今ここにきてもそうはなっていない現状を思えば、なんとも複雑な気分になるというか。
ジャックはそれこそカレンを行かせるべきだったと思ってしまって。
この映画をみたアフロ・アメリカンの人たちが「こんな綺麗事嘘っぱち」とならないのが現在だったら良かったのに。
その苦さはあるけれども、ここだけ切り取って映画としてみれば脱走もの友情ものとしてとても面白かったと思う。
まぁジャックの裏切りは彼が裏切ったのではなく女性に利用されただけとしていたところも気に入らないんだけど。
そこも潔くカレンに対して”卑怯”なことをした自分というところと向き合う流れにすればいいのに、うまくジャックへの悪印象をあの女の人にスイッチさせているところがちょっといやらしいなぁと。
子供をおじさんのところに預けて2人で逃げたがるっていうのも、それはそれであるかもしれないけれど、そりゃ見ている男の人は気持ちいいかもしれないけれど、見ている同性の身としては複雑な気持ちになるっていうところで、それを言ったら「エンタメなんだから無粋なこと言うな」とかって機嫌悪くなられたりするっていうのもどうなんだとか。
やるならそういうことを感じさせないよううまくやらなきゃ。
まぁそういうところも思わないではないけれでも、思った以上ににユーモア満載で見やすく最後まで目が離せない面白い映画です。
シドニー・ポワチエ好きにはたまらない一品です。
可愛さとお茶目さがもう炸裂しまくっていましたから。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 92%