息子よ、パパンの勇姿を目に焼きつけるがよい!
手下から愛されまくっているボス、ウェイドをラッセル・クロウが、200ドルの借金を返したいがお金で魂を売らない哀愁のパパン、ダンをクリスチャン・ベールが!
これで面白くならないはずがないだろうというキャスティング。
しかもDVDのパッケージには「衝撃のラストに涙が止まらない!」とのデカ文字コピーが!!
なにこの盛大なスポイラー....。
つまりオリジナルと違ってバッドエンディングってことでしょう???
列車に乗れないの?
列車に乗れないってことなの????
で、見終わりました。
元々オリジナルが不思議な仕上がりの映画で、それでいくとリメイク版も忠実だったのかなという気もしなくはないのですが。
まぁ、やっぱり手下の皆さんが気の毒すぎましたよね。
オリジナルでも十分気の毒でしたが、リメイクでも気の毒。
今回は手下の中でもボスが大大大好きな部下チャーリー・プリンスをベン・フォスターがとっても印象的に演じていたので、余計に気の毒感が増してしまいましたよおう。
「ボスー、ボスー、俺たちですよー!助けに来ましたよー!ボスー、ボスー、なんで逃げるんですかー、俺たちですよー!」って感じで。
まぁ、最初にウェイドの部下に対する冷酷ぶりを打ち出していましたので、そういう男だったんだよと言えば言えなくもないんですが、でもあのシーンはむしろ手下の皆さんたちがウェイドを裏切る伏線なのかとてっきり。
それっぽい気配もなくはなかったんですが、なんといってもこのチャーリーのボス愛がすごかったので、あのオチはなかなかショッキングでした。
まぁそういう意味ではパッケージのコピー通りだったんですがねぇ。
オリジナルよりも殺伐としておりまして。
先住民の居住区を通って襲われたり、鉄道トンネル工事に大量の中国人労働者の方が劣悪な環境の中で過酷労働を強いられている場面が出てきて、「黒人の方が扱いやすかった」なんてセリフも出てきたりするわけです。
これは南北戦争後のダークな事実もつつみ隠さず描写したという意図のようで監督は「きちんと人種差別問題にも触れている」とあちこちのインタビューで豪語しておられたのですが、どうなのかなぁ。
他にもトンネル工事の現場を通る際にダンの息子が彼と同じ歳頃の中国人の少年が重労働しているのを目撃し、その少年と目線が合うというシーンがありまして。でも、それ以上別に何かドラマがあるとかではないんです。ただ目線があったというだけ。
監督は「最近は人種問題や性差別に触れている映画が多いけれど説教臭すぎてかえって見ないと思うんだ。だから説教臭くならないように留意した」とメイキングでおっしゃっていたわけなんですが。
あの時代、こういうことが行われていたときちんと画面に映したということなんだと思うんですがダンの息子という映画の主要メンバーの1人と目線が合ってしまったことで、まだ何かあるんだろうか?と気になってしまったので、背景として出すだけにとどめておいた方が良かったんじゃなかろうかとか思わないでもないんだけれど、ダンの息子と目線があったというそのことで印象に引っかかるわけだから、映画の展開に関係なくともこうして意識に引っかかっているということは、まさに監督の狙った通りということになるのかな?
もしここからそのことに対してのドラマや何らかのセリフが入っちゃうと、「説教臭い」ということになるってことかな?うーん、難しい。
ラスト、走りゆく列車の音に紛れて聞こえたウェイドの口笛にしっかりと反応して「ごっしゅじーん!」と嬉々として走り出したウェイドのお馬ちゃん。
ん?
あのお馬ちゃんを助けたのもボスラブがすごかったチャーリーじゃなかったっけと思いながら。もしそうだったら、つくづく不憫というか報われないというか...。
↓ボスが大好きすぎるチャーリーさん
ベン・フォスター、この人面白いな...
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 89%