So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

デンゼル・ワシントン、リチャード・アッテンボロー「遠い夜明け (Cry Freedom)」関連インタビュー

 「ドリトル先生」の記事を書いていた時、Imdbを見てサー・リチャード・アッテンボローが出演していたと知ったあと、ふとひらめいて「Cty Freedom」の時の監督のインタビューないかなぁと検索したのでありました。いくつかひっかけることができて、そのまんま「ドリトル先生」の記事に書いていたのですが、結構なボリュームになったので分けました😅

 

 

 

 南アフリカのアパルトヘイトに強く反対していたリチャード・アッテンボロー監督はこの問題をもっと多くの人に認識してもらいたいと「Cry Freedom」を映画化する準備を始める。

  監督はスティーブ・ビコ役にアフリカ人俳優を探していた。

 100人以上の候補者と面接し、秘密裏に数人の南アフリカ人の俳優とも面接したけれども監督の思い描くビコが演じられる俳優を見つけられずにいたそうだ。そんなとき、監督は「A Soldier`s Story」を見たそうだ。そこでデンゼル・ワシントンの演技を見てキャスティングを決めたとか。

 デンゼル先生も監督がアメリカ人ではなくアフリカ人の俳優を欲しがっていたことは知っていて「自分は南アフリカのアパルトヘイトで実際に苦しめられたわけではないので、監督の気持ちは理解できる。でも僕はアフロ・アメリカンで僕の祖先はクルーズ船に乗ってアメリカに渡ってきたわけではない」とインタビューで話している。あとこの映画の撮影で始めてアフリカに降り立ったとき、とても満たされた気持ちがしたとも。

 

「遠い夜明け(Cry Freedom)」はビコについてではなくビコと友情をつちかった白人のジャーナリストが主人公となっていて、この点でバッシングを受けるであろうことはアッテンボロー監督もデンゼル先生も予期していた。

 1985年にオファーを受け、準備期間の一ヶ月半、デンゼル先生はビコについて書かれている本を読んだり、ビコの友人たちや同僚がビコについて語っているビデオを見たり、実際にビコと活動していた人たちやビコを教えていた学校の先生に直接会って話を聞き、現存するビコのインタビュー映像を見たという。ビゴを役作る上で一番手掛かりになったのはビゴの書いたスピーチ原稿や手紙を収録した''I Write What I Like.''だったという。

I Write What I Like: Selected Writings

I Write What I Like: Selected Writings

  • 作者:Biko, Steve
  • 発売日: 2002/09/01
  • メディア: ペーパーバック
 

  裁判所でのスピーチのシーンの撮影で裁判所の傍聴席に座っていたのは俳優ではなくエキストラのとして集められた地元の人たち。

 朝から撮影が開始するも、なかなかうまくいかず、デンゼル先生がセリフをとちってしまったり、エキストラの人たちも飽きてきてしまったのか騒ついてきてしまったため、監督はお昼休みを挟んでからそのシーンを取り直すことに。

  再び撮影となり、その時はデンゼル先生、完全に役にコミットできていて、傍聴席のエキストラの人たちが真剣にスピーチに聞き入っているのを感じたそうだ。

 そしてセリフを言い終わったとき、一斉に拍手が起こったので、一瞬セリフが無事に言い終わることができたことへの拍手かと思いかけたけれども、そうではなくてこの拍手はスティーブ・ビコの言葉に向けられたものだと気がつき、その瞬間、ステーブ・ビコが向き合っていたものに関してそれまで以上に身近に感じることができた気がしたそうだ。

 ビコを演じたことで、それまで以上にこの問題ついて何かしたいという思いが強まったともデンゼル先生は語っている。

 

「遠い夜明け(Cry Freedom)」が公開された当時に南アフリカからアメリカに亡命された方がこの映画に書いている記事を読んだ。

 やはりこの映画がビコについてほんの一面しか描かれてないことに苛立ち、ビコ役にデンゼル・ワシントンをキャスティングしたことについても ”わかっていない”と批判的だった。

 アパルトヘイトの苦しみを知らないことや、問題を知りながら見ないふりをするリベラルの白人への反感など、それこそがビコが戦っていたものなのに映画ではそれを描かなかったと書きつつも、アパルトヘイトを取り上げた映画の中で一番の良作としている。

 スクリーニングでのオーディエンスの反応は「こんなことが本当に今の時代あるの???」と信じられないというような驚愕で、これも典型的なリアクションだと皮肉っぽく書いている。

 自由を夢見てアメリカに渡ってきた南アフリカの人たちは程なくアメリカにもアパルトヘイトのようなものが蔓延っていることを目の当たりにして、この問題が南アフリカだけのものでなく世界全体のものだと思い知ったとも。

 

 この役を引き受けたとき、デンゼル先生は32歳。

 その後の出演作品を見ればデンゼル先生がどれほどの精神力を振り絞ってこの問題と立ち向かっていったかということを一段と実感する。

 

 知れば知るほどデンゼル先生のこと大好きになるーーーー!! (はいはい)

f:id:Miyelo:20210126120946j:image

 参考記事:

www.chicagotribune.com

www.csmonitor.com

 

他にも 当時のデンゼル先生のインタビューも見つけたのでペタリ。

 

 以下二つは冒頭でビィーーー音が入るので市長の際はボリュームにお気をつけください。

Bobbie Wygant Interviews Denzel Washington for "Cry Freedom" (1987) from The Bobbie Wygant Archive on Vimeo.

リチャード・アッテンボロー監督のインタビュー

時間がある時にまた書き足すかもしれません。