実はお肉が大好きだったドリトル先生。
1967年にアメリカで作られたミュージカル映画。
アマプラで検索をしている最中にたまたま目にとまり「ドリトル先生のミュージカル??」となんだか好奇心がくすぐられて見てしまった。
色々驚いたのだけれども、まず驚いたのがドリトル先生ってイギリス人だったんだー!!!
もしや「ドクター・フー」ってドリトル先生から発想を得たのかしらーなんて勝手な妄想を巡らせつつ。
映画の中でドリトル先生が「動物たちが怖がるので肉を食べるのはやめたんだ」と話しているのを見て、「ドリトル先生ってお肉が好きなのに我慢して食べなくなったんだ!」とちょっと驚きました。
マシューやアルバートがベーコンを食べようとすると怖がるガブガブ(子豚ちゃん)に「ソーセージやベーコンぐらいで騒がない」とドリトル先生が宥めるのが、なんだかシュールというか、ガブガブにとってみれば目の前でベーコンやウインナーを美味しそうに食べられちゃうと「いつか俺もベーコンにされちゃう???」とかって動揺するんじゃないかしらとか思いながらも、”そのくらいは大目にみてやってよー”というドリトル先生はなんだか憎めない気もしなくもなくも.....
映画には当然いっぱい動物が出てくるわけで、今と違ってCGが使えるわけではないですから、なんというか「よく撮影したなあー」という感心が先立ってポッカーンです。
動物のコンディションを思えば絶対やっちゃいけないよなぁとか、こんなことに付き合わされて大変だったねぇ....思ったりもしつつ、でも動物たちも大変だったかもしれないけれど、スタッフさん、俳優さんも超絶大変だったろうなーと思ったり。
「ピンクのカタツムリ」を探しに行きたいというドリトル先生の夢を知っている友人が双頭のラマを送ってくれて、ドリトル先生はすぐにサーカスに売り込みに行くわけです。
サーカスに売っ払うというのではなく出演交渉ですね。
条件はもちろんラマと相談します。サーカスの団長さんと交渉して、ラマの納得のいく形での勤務時間と休憩時間を確保。
ドリトル先生が一緒にショーに出るわけですが、もうこのあたり、頭の中でグルグルが止まりませんよ。”サーカス”→”見世物にする”というと物凄くマイナスイメージがあって、最初「ええドリトル先生、そんなことするの????」って動揺しちゃうわけですがドリトル先生が通訳としてラマが掲示する雇用条件をきちんと相手に伝えてるしなぁとか無理に雇用関係を結ばせようとしていないし、そもそもラマはドリトル先生のために一役買うことをちっとも嫌がってない感じだし...となると、別にこれはありでいいのかな〜?みたいな。
それともこれこそが私みたいな無責任な偽善者が自分に都合のいいように解釈しているだけでそれが問題の本質を見えにくくしているとか、やっぱり「これはありでいっかぁ」で済ませて良いもんではないのかもしれないしなぁとも思ったりとぐるぐる。(←このあたりから感想書くとき苦労するぞーという嫌な予感に気が重くなってきて、既に見なきゃよかったという気持ちになってきております)
ドリトル先生は女性蔑視なところも持ち合わせているんです。
「女は航海に向かない」とか「女はやっぱり旅に向かない」とか。
最初はドキッとしましたが昔は女の人を船に乗せると船が沈むなんて言われてたりしてたわけだからドリトル先生のこのリアクションもいたしかないのかなとか、後から実はドリトル先生は彼女に恋をしていることも判明して。
邪険なことを言いまくっているようでしっかり彼女のことを気にかけているところでこれまた目クジラ立てるようなことではないよなぁとか思ったり。
それともここはやっぱり「女性蔑視だわ!」って怒るところなのか????
いやでも時代背景を考えてミーレバーレバー♪(←もう書くのやめようかと思い始めている)
余談ですが、自分が生理になってからこういう冒険ものを見ると結構不思議に思うことがあって、いきなり冒険に出ることになったり、漂流することになったりしたら女の人って生理になった時はどうするんだろうっていう。
その点、男の人は生理がないからいいよなぁって思ったりしていたわけなんですが。
その昔、女の人が旅に出にくかったっていうのはそこもデカかったんじゃなかろうかと思うんですがどうなんだろう。
精神病院に入れられないようドリトル先生はポリネシア、マシューやアルバートの助けを得て脱走し、そのまま航海に出ます。
とある島に流れ着き、そこには黒人の部族の人たちが住んでいて、最初はドリトル先生たちを警戒するんですが、それは「白人はいきなり住民を殺したりすることがあるから警戒した」という理由で、全ての判断はその島の法律に基づいて行われることなんですね。
で、その島は移動する島なんですが、嵐で北に流れすぎてしまったため風邪が流行ってしまい、その島の動物たちの治療をドリトル先生が担当する。
で、ひらめいてクジラさんに頼んで島を南に押して行ってもらうんですが、最終的にその島はアフリカにたどり着き、実は元々アフリカの本土から切り離されてしまった島で、クジラさんがぴったり元通りに位置を戻してくれるわけなんですね。
これはなかなか素敵な流れなんじゃないかと思う一方で「やっぱりホワイトセーヴィアだとか何か差し障りがある的なことを言われてそうだよなぁ」という思いもよぎりつつ。
見終わってから検索したら案の定「差別」絡みで「ドリトル先生」はかなり問題のある児童文学というような内容の記事が怒涛の如くヒット。。
「ドリトル先生」ってそんなに叩かれる作品なのかなぁってどうにもピンとこないというか。
そりゃなんで「シェイクスピア」とかイギリスの文化を島の人たちが尊んでたりするんだってツッコミも頭をよぎりますが、でもドリトル先生がイギリス人でイギリスの子供たち向けに描かれているんだったら、別に悪いことじゃないんじゃないかしらとか。
イギリスの古典劇「シェイクスピア」を知っているから「偉い」とかっていうことではなく、のちに学校の教科書とかに出てきた時に「ああそういえばドリトル先生であの島の人たちがシェイクスピアのことはなしてたなぁ」という程度に便利そうかなとか。
それともやっぱりここは問題視しなければいけないんだろうか???
動物の言葉を学ぶことに熱心なドリトル先生は相手の気持ちを理解したいから言葉を学ぼうとするわけで、そこに相手の意思を尊重する姿勢もあったりするわけで。
うーん...。
ちなみにドリトル先生を慕っているマシューはアイルランド人で、マシューはドリトル先生のことを”いい人”と何度も歌う。
ドリトル先生のいうことはホラ話のようでどこからどこまで本当のことなのかちっともわからないけれどもドリトル先生が話すような世界があったっていいし、そんな世界で住んでみたいし、夢があっていいよね、というような。
子供たちにそういう世界を目指してほしいという思いがあって作ったんだろうなぁとは思うわけで、でもリベラルな夢みがちな作品は現実の問題を見失わさせてしまうから、やっぱり問題なのかしら???
でも”表現の自由”の重要さを思うなら全てを「間違っている」とただ否定し、葬ってしまうのはやっぱりおかしいし、そのことの方が危険な気がするし。
こう悶々と悩む羽目になるのも思考訓練として悪くないような気もするし。
いやどうなんだろう。
落としどころ迷子になってしまったのでこのあたりで勘弁してください。
そうそう、Imdbみて驚いたんですが、この映画に出てきたアルバート少年が「Cry Freedom」の監督、サー・リチャード・アッテンボローだったということにビックリ!
なんでビックリしたのかと問われると説明できないんですが、動物好きになったのってもしやドリトル先生????弟さんがドリトル先生好きだったとか???もしや弟さんそれで動物学者に????と勝手に妄想がくり広がってしまって。
追記:
ドリトル先生の本について松岡正剛の千夜千冊に書かれてあったのでブックマーク。
奥さんがガーナ出身の黒人の方で旦那さんがアメリカ出身の白人の方が書かれた「ドリトル先生」についての記事。子供の頃から大好きな本で、4歳のお子さんに読みきかせていてギョっとなったと。他の児童書もチェックしたそうだが、他にも植民地時代的差別ひ当時全く気が付かなかった自分の無知ぶりに驚いたとも書いてある。
黒人の方が書かれた記事が見つかればいいと思ったのだけれども今回の検索では見つけることができなかった。エディ・マーフィはドリトル先生をやった時のインタビューとかを調べてみたら見つけられるかな?エディ・マーフィのドリトル先生を見た時にでもトライしてみます。
古い時代の創作物に人種差別や性差別表現が存在するのは歴史的に人種差別や性差別が行われていた事実があるのだから、存在するのが当たり前ということになる。
これを「なんてこった!これって差別表現じゃないか!」と気がつけるようになったことが大事なのではないかとなんとなく思った。
まず気が付かないことにはどうしようもない。差別問題は基本的には差別する側に問題があるのであって差別される側にあるわけではないわけで。
それについて「ああこんな時代もあったんだねぇ。ホント、とんでもなかったねぇ。」と未だに完全なる過去形で言えないことが問題で、腫れ物に触るみたいにそっと葬ってしまえばいいということでもないんだろうなと。
だって歴史改ざんしていることになるし。
やらかした過去は忘れたいけれど、でも忘れてしまったらまたやらかすことになるから、うん。大阪にある津波の石碑のように。
津波の勢いは、普通の高潮とは違うということを、今回被災した人々はよくわかっているが、十分心得ておきなさい。犠牲になられた方々のご冥福を祈り、つたない文章であるがここに記録しておくので、心ある人は時々碑文が読みやすいよう墨を入れ、伝えていってほしい。
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