So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

ホワイトハウス・ダウン (White House Down)

アクション・コメディの最高峰!

ホワイトハウス・ダウン (字幕版)

ホワイトハウス・ダウン (字幕版)

  • 発売日: 2013/12/18
  • メディア: Prime Video
 

 

 

まさかコメディと思っていなかったので、いい意味で予想を裏切られました!

全力没入モードで画面に向かってまくしたてつつクッションを虐待しまくりつつのめちゃくちゃ楽しい鑑賞となりましたよー!

 

これ映画館では絶対見れない、私。

日本語字幕と聞こえてくる英語の脳内不一致が気持ち悪くて劇場にはとんと見に行かなくなりましたが、誤訳ということではなく自分の脳がどちらモードにスイッチすればいいのか大混乱するのです。でも英語スキルが上達すればそんな悩みからも解消されて晴れて映画館に足を運べるようになると信じていたのですが....。

 もはや90分以上も大きくリアクションすることも声を上げることもなく見る自信がないですよ。きっと立ち上がっちゃったり拳突き上げたりしちゃいます。

 というわけで人様に迷惑をかけぬよう大人しく家で鑑賞することに徹します(なんの宣言だよ)。

 

 で、映画の話に戻りますがー、

 

 もうホワイトハウスが占拠されてからは息もつかせぬ展開でハラハラしつつ、究極に緊迫させられている時にとんでもない笑いツボついてこられて、「いーやー誰か助けてあげてー」とか「みつからないでー」とか涙目になって緊迫しているような時に笑い爆弾投げ込んでくるんで、もうこっちもほんと忙しい。

 

 9歳の娘にすっかり嫌われてしまったお父さんが主人公のジョン。娘のエミリーと仲直りしたくてホワイトハウスオタクの娘のためにプライベート・ツアーを予約する。ところがプライベート・ツアーの最中にホワイトハウスが襲撃され、お父さんと娘は離れ離れに。

 

 ジェイミー・フォックスが戦闘能力ゼロの大統領ソイヤー役。

 綺麗事と言われようが偽善と言われようが甘ちゃんと言われようが自由の国アメリカに相応しい理想の大統領になろうと頑張る姿勢が最初は「ジェイミー・フォックスなんだから自分で戦っちゃえ!」とか思っていたのが、だんだん非暴力の姿勢をヨレヨレになりつつも頑張って貫こうとする健気さにやられてくるというか、なんというか「大統領おおお!絶対絶対死なないでー!!!!」って気分になってくる。

 娘を守りたくてたまらないヘタレお父さんジョンと大統領のデコボコバディぶりもすごくいい。

 何気にこのジョンってば最強お父さん伝説に殿堂入りしそうにすごいスキル持ちなソルジャーで、ヘタレだったのが、一転して最強戦闘員ですよ。

 もうどんだけすごいねん!っていうぐらいすごいんですが、そこはもう彼に戦闘力ゼロの大統領と9歳の娘の命がかかっていますからね!

 「お父さんがんばれー!!!!お父さんそこで死なないでえええ!!!お父さんだけが頼りなのよおおおう!!!」ともうお父さんコールで終わった時には喉ガラッガラですよ。

 

 このホワイトハウスオタクの娘エイミーもお父さんの助けを待ってただ泣いているだけの女の子じゃないんです。

 ユーチュバーとして、ホワイトハウスを襲撃してきた犯人たちの動画をアップロードするっていう強者ぶり。

 そして彼女と一緒に人質になっていたツアーガイドのホワイトハウスオタクがこれまたオタクらしい勇敢さを発揮して可笑しいのなんのって。

 何気に登場人物みんなキャラがいい具合に立っているんですよね。

 テロリスト側のハッカーが「ウエスト・ワールド」などでお馴染みのジミ・シンプソンですよ!この人もキャラ作るの上手いっていうか、凝り性な感じでいつも何かしら楽しませてくれるんですが、今回もやっぱりです。

 ホワイトハウスを奪還しようと指揮を取る総合参謀本部を仕切るコールフィールド大将がランス・レディック!

 この人はいるだけで指揮官オーラが出まくる感じでもうかっこいいのなんのって。

 

 ホワイトハウスが襲撃されて大統領が狙われたのは、大統領が中東から全軍撤退させようとしていることを憂いた軍事産業でそことつながっている政治家が黒幕。

 さらりと白人至上主義や人種差別、格差問題も盛り込んで。事件が起こっている間に次から次へと大統領権限が移っていくわけですが、権力を握った時に「誰を何から守ろうとするのか」そこで政治家としての人間性や真価が透けて見えるような仕組みになっているのが上手いなぁって。 本当に国民の安全を考えたとき何をするべきなのか。

 もちろんコメディなのですごくざっくりなんですが、でも9歳の女の子のエミリーの存在がすごくキーになっていて、結局この女の子を守れないようでは国としてダメなんだと。この女の子が未来であり、この女の子に軽蔑されたり失望されたりするような振る舞いをしてはいけないんだと。

 

 なんというか「理想のアメリカ」の打ち出し方が嫌味のない感じで気持ちよかったかなぁと。

 まぁ、リンカーンとかそもそもの始まりからして「理想」とはほど遠いくせしてよーとツッコミもあるわけですが、「国家の危機」とか「この国の未来のため」とか深刻を振りかざす政治家たちの「論理」をことごとく茶化してまぜっかえしてみせた手腕は見事だったかなぁと。

 

 テロリスト側も途中で仲間われしてくるんですが、「金目的」と「息子の仇討ち目的」と「企業の利益目的」と、お互いに「そんなくだらない目的」って言い合うのが、シュールででもすっごくまとを得ている感じで。

 テロリストのリーダーは腹心の部下がジョンに殺されて、そもそもの目的よりもジョンへの復讐が第1目的となり、そこで「息子の復讐」を目的にホワイトハウスを襲うことを首謀した政治家に「感情的になって動くな」って怒られて「息子の復讐でホワイトハウス襲撃するようなあんたに言われたくない!」って言い返すのがもう大笑い。

 

 逃げ道をどんどん塞がれていって、ホワイトハウスを爆撃してテロリストごと吹っ飛ばそうという決定が出てしまったとき、またエミリーがすごくいいんですよ!

 「うああ、アーメーリーカー!!!!」ってアメリカ国民でもないのに熱くなる感じの。

 

 なんというか「深刻」を全部お笑いごとにしてしまう力技がすごい。

 銃火器で建物やら人やら吹っ飛ばしつつしっかり笑いにしてしまうっていう、なんだろうこの剛腕ぶり。

 

 最後の最後まで大笑いさせてもらいました。

 

 

追記: 実はこの映画をみた翌日にアメリカの45サポーター国会議事堂乱入騒動が勃発いたしまして、妙な既視感になんというか。アメリカがどうこうというよりもSNSをちょっと覗くと冗談みたいに45サポーターのしたことを褒める日本語ポストが目に入ってしまい、むしろそのことに気が滅入ってしまいました。こういう風に感じることがもしや少数派になりつつあるのか、それとも検索ワード次第で私もやっぱりSNSに踊らされているだけかもしれないし、懸念が当たるぐらいなら私がSNSでいいように洗脳されているただのバカってオチの方がよっぽどいいんです。

 

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 51%

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