最初から最後まですごくすごく面白かったです!
最初から最後まで主人公に没入してみられたので、物語世界としては大満喫。
それにオマーさんことマイケル・ケネス・ウィリアムズがトランペット奏者として登場して、 これがもうめちゃくちゃ似合っていてカッコ良くて!!!
これまで見てきた役柄の中で一番ステキだったんじゃないかな?
主人公の孤児でトゥレット症候群のライオネルもすごくいい人で憎めない感じで。その彼が危なっかしい感じで事件の真相追求していく間、どこに辿り着くことになるのか分からなくてハラハラしどおしで、探偵ものとしてもとても好みなテイストで楽しめました。
あと、内容がすごくタイムリーだったなぁと。
都市計画に必要な土地に住んでいる住民は立ち退かせる。
後から家を建てるのでとかって約束しながら契約書はゴミ箱行きって、そんな非道なー!
市政まで懐に取り込んで都市計画を強引に推し進めていったのがモーゼス・ランドルフ。
こいつがとんだ下衆野郎なんですよ!
人を人とも思わない。女の人をレイプするのも自分の当然の権利と思い込んでいる。
公園とか橋をいっぱい作ったからって女の人に乱暴働いていいもんか!
くそ気持ち悪い親父め!自分がレイプされてみろってんだ!
住んでいる人を騙して脅して追い出すなんてこと平気でするような人間にパワー持たせたら絶対ダメなんだってば!
”これが「権力」を持つってことだ。すべてを思い通りにできるのが「権力」だ”とかって言う輩が街の名士とかってみんなに尊敬されてるっていうシチュエーションになんだか、今回のアメリカの大統領選挙のことを思い出してしまいました。
あと映画を見ながらふと思ったのが、ブロンクスのあの空爆にでもあったかのように瓦礫だらけの街並みとなった原因ってこういった都市開発が原因だったのかなって?
Hip-Hop関連のドキュメンタリーであの瓦礫のような街並みが出てくる度に、そもそもどうしてここまで崩壊したのかって不思議で。
こんな感じ↓
都市開発のために住民を立ち退かせようと色々仕掛けていたというのなら、ふに落ちるかなぁって。だって住んでいる人間が自分が住んでいるところを壊したいわけないじゃないですか。 屋根はやっぱり欲しいですよ。
かつてネイティブ・アメリカンに強いたように都市開発を進めるために土地を明け渡すようマフィアを雇ってわざと治安を悪くしたり、甘い話で契約書にサインさせて買い叩くみたなことをやったのかなぁって。で、そうやって追い出された人たちはいったいどこにいってしまったのか。
きちんと代価を支払ってもらえているならまだマシだけれども、映画みたいに全然そうでない人たちもいっぱいいただろうし。
お金には変えられない大切な思い入れのある家や土地から無理やり放り出されて、そのあとで「このあたりも綺麗になったわねー」って、その利益を享受できる人たちの中にもともと住んでいた人たちはどのくらい含まれているんだろうかとかそんなことをほんのりと考えてしまいました。
追記:
昨夜、ネトフリで「Who Killed Jam Master Jay?」を見たんですが、その中で1975年にニューヨーク市が財政破綻したっていうのがあって。
「マザーレス・ブルックリン」の時代設定が1957年。
「アメリカン・ギャングスター」が1968年〜1975年。
「マザーレス・ブルックリン」は実話ではないけれども、モーゼス・ランドルフのモデルになったのがロバート・モーゼスという実在の人物(都市開発に邪魔になる住民を強引に排除。橋やら高速道路やらバカスカ建築したらしい)。
立退を強行したり邪魔者を排除するのにマフィアや警察を味方につけたせいで、マフィアと警察が癒着しまくりという土壌が出来上がり、「アメリカン・ギャングスター」であったように警察もマフィアもどっちも害悪みたいな状態になったんじゃなかろうか。
で、「アメリカン・ギャングスター」に登場するフランクが純度の高いコカインを流通させたことでますますコミュニティは破壊されていく(フランクのことをそれでもブラック・コミュニティにお金を還元したことで、そういう観点では否定しきれないところもあるのかとも思ったけれども、でもやっていることは結局、モーゼス・ランドルフと変わらないわけで。雇用を生み出すとか、多額の寄付をするとかで「いいこともしている」とダークな面に目をつぶったら、もっとひどい目に合うというのはこの後の流れが証明しているわけで)。
両親ともに麻薬に溺れて子供を育てられる状態でなくなり、子供はギャングのお兄ちゃんに面倒を見てもらうことになり、同じ道を進んだり抗争で死んだりとか。その中で憎しみはどんどん生まれるだろうし、どうにかして真っ当な人生を掴み取ろうとそこから抜け出そうと努力しても、巻き込まれるなどで命を落としたケースも後をたたなかったわけで。負の連鎖を断ち切って日々殺されるかもしれないという心配をせずに日常生活を送れるような状態が今なお実現できていないことを考えると...。
ああ...なんか根深い。
なんで街があんな空爆にあったみたいにボロボロになったのかわっかりましたー。
やっぱり都市開発しようとぶっ壊しまくってたんだー。
「マザーレス・ブルックリン」の中に出てくる活動家の女性ギャビーのモデルとなったのがこのジェイソン・ジェイコブズさん。この映画もみたいな。
アマプラにありました〜!今度見てみよーっと。
私の好み度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 63%