このポーズってそういう意味だったの?!
スポーツとかで何か好プレイをしたり、勝利が確定した時とかに人差し指を空に突き上げる感じのポーズって「ナンバー1はオレ!」ってことかと思っていたのですが、「ジーザスの名の下に俺たちはひとーつ!」ってことだったんですね....。
全部が全部そうというわけではないのかもしれませんが、まずこのことにビックリいたしました。
1973年、アラバマ州バーミンガムにあるウッドローン高校に人種隔離の撤廃にともない黒人の生徒たちが通学してくるようになる。
アメフト部にも黒人の生徒が入部してくるが、人種差別の意識が抜けない白人の生徒たちからの猛烈な反発により、黒人選手と白人選手の諍いがどんどんとエスカレートしていき、監督のタンディも頭を抱えていた。
そんなとき、宣教師のハンク・アーウィン牧師が監督のタンディを訪ねてきて、選手に話をさせて欲しいともちかけてくる。
まず冒頭で1973年にいたるまでのアラバマ州の人種差別の歴史が描かれる。
5分にも満たないと思うのだけれど、あまりの不当な扱いに激しい怒りがこみ上げてくる感じ。 人種隔離政策の撤廃に徹底的に反発と嫌悪の声をあげる白人の人たちの姿にはただただどん引くばかり。
アラバマ州は1950年代になっても人種隔離政策が行われていたところで、バスの中で白人に対して白人専用席を頑固として譲らないという抵抗をみせたローザ・パークスの一件もアラバマのモンゴメリーであったことだし、キング牧師がいた教会も選挙のために命がけで橋をわたったセルマもアラバマ州。
そんな公民権運動の嵐が過ぎ去った1973年。
黒人と白人が同じチームメイトになって人種差別の歴史で培われた憎しみや恐怖の壁を乗り越えるといえばデンゼル・ワシントンの「タイタンズを忘れない」を思い出すが、この映画がタイタンズと大きく違うのは、生徒たちがわだかまりを超えて繋がっていく大きな要素となったのがハンク・アーウィンというスポーツ専門の牧師だ。
このハンクの話を聞くとあーら不思議!「憎しみあいなんてやめよう!」とみんなが一致団結する。
憎悪もここ極まれりみたいなシーンをみたあとだったので、憎しみだらけでどこにもいけないような絶望的な状況の中で、こういう感じで人々が気持ちを切り替えるきっかけになるなら宗教もそう悪いものではない...かな?と私の中での宗教に対しての警戒感レベルがやや下がったんですが。
しかしほどなくライバルチームもハンク・アーウィンの説教に心動かされ「神のもとにひとつ!」とライバル校チームながらウッドローン校とすっかり宗教トモダチなったり、学校の生徒たちにもどんどんと広まっていって、無神論者だったコーチも洗礼受けたりと、広まり方と影響力のすごさぶりに、なんというか人種の壁を乗り越えた人々が素晴らしいというよりもハンクのメンタリストぶりがすごすぎてもはや笑いごとっていうか、怖えーよと。
なんだかこれがいい方向に働いているうちはいいけれど、怖い方向に向かおうと思えばいくらでも向かえちゃえそうで。
”ハンク、怖っ!宗教、怖っ!”の気持ちの方がすっかりとまさってしまいました。
そしたら映画の最後に「あなたも仲間にはいりませんか?」的なinfoが!
これ宗教啓蒙映画かいなー!と。
クオーターバックを務めることとなった黒人選手トニー・ネイサンはあのプレッシャーの中よくがんばって期待に応えることができたと。家に石投げ込まれたり、自分の背番号のユニフォームを庭先で燃やされたり。
白人から嫌がらせを受けるだけでなく、白人と一緒に過ごしているということで、黒人コミュニティの方からも「裏切り者」と罵られたり。
監督やご両親のサポートがあったからこそトニーは重圧に押し潰されることなく、踏ん張れたんだなぁと思うし、なんというか普通にスポーツ映画路線でやってくれた方が、それこそ「宗教も悪くないかもね」と布教映画としても一役買えたのではないかと思うけれども。
でもまぁアメリカを知る上で宗教は避けて通れないしなぁ。
宗教は劇薬のようなものかもしれないなぁなんて。効き目はバツグンだけれど副作用も怖いみたいな。
うーん...。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 73%