エミネムの半自伝。
エミネムが白人だからといってラップなどできるはずがないと黒人の人たちがエミネムを見下すのは紛れもなくレイシズムだ。
この映画ではエミネムが黒人たちから見下され、蔑視される様子が描かれる。
エミネムは母親と妹と共にトレイラー暮らし。
現在は高校の同級生が母親の愛人に収まっているという状況だ。
エミネムは自分の手で成功するために最終的には仲間と決別し、自分なりの方法でやっていくことを決意する。
白人の貧困層。
最近疑問に思っていることだけれども、例えばこの人たちも警官から黒人の人たちと同じように不当な扱いを受けていたり、殺されたりしているのだろうか。
たまたま誰も声をあげていないだけなのだろうか。
映画やドラマで見る限りではやっぱり理不尽な目に合っている印象だけれども、それでもKKKのような輩からターゲットにされ乱暴されたり殺されたりすることはない...はず。白人至上主義者が白人に手をかけていればなんのこっちゃらかである。
とはいえホームレスの方への差別はあるし、ポー兄がホームレスの方への世間の理解を深めようとドキュメンタリーをプロヂュースしただけで脅迫やらの電話を受けたというのだから、やはり理不尽なことが起こりまくっていると考える方が妥当なところか。
とはいえ、警察にむやみに発砲したり、パトカーにいたずらをしかけたりというのはなんとなくホワイト・ボーイならではの振る舞いである気がする。(←これも偏見かな。偏見かもしれないな)
この映画ではそういう事態は起こらなかったけれども、エミネムやその弟分は逃げられても周りにいた黒人の仲間たちは逮捕され投獄される可能性が大だったのではないか。
それとも同じ扱いを受けるのだろうか。
ラップが自分たちの文化と信じている黒人の人たちにとっては白人であるエミネムの存在は腹立たしいだろう。
とくに同じ界隈に住んでいて、同じように界隈から抜け出したいと思っているとしたら抱く感情は複雑なものになるというのも理解できる。
ヒップホップ自体は絶望的な状況下で無駄にいがみ合ったり殺しあったりしないようにするために生まれた文化だ。ヒップホップを通してエミネムが界隈の黒人の仲間たちとつながるというのは、それぞヒップホップの醍醐味というものだ。ギャングスタである必要もない。
うまく言えないけれど、なんとなく白人の人目線の映画だなと感じでしまってもやもやもやーんとしてしまった。(←そう感じる私がレイシストなのかという疑問ももちとん感じつつ)
エミネムは白人なので白人目線で問題ないはずなのだけれど、でもエミネムという存在の特異さを活かして、もっとコアな問題に触れられそうなチャンスだったのになーと。
貧しい生活から抜け出すために夢を追う。
そのためには居心地のいい環境(気の合う仲間)から離れる必要があるし、周囲から向けられる嫉妬や妬み、憎しみなどに潰されないようにする必要もある。夢の扉に手をかけたと思ったら詐欺だったということもあるし、そういった諸々の壁を乗り越えエミネムはHip-Hop界に自分の実力を認めさせたわけだから、うーん....どうして欲しかったのか自分でもわからん(←おい)。
もしもこの映画を黒人の監督が撮ったとしたらどんなテイストになったのかな?
例えばジョン・シングルトンやスパイク・リーが撮っていれば?
ついそんなことも悶々と考えてしまった。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 75%