So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

クリムゾン・タイド (Crimson Tide)

デンゼル先生めっちゃかっこえええ!!!

クリムゾン・タイド [Blu-ray]

クリムゾン・タイド [Blu-ray]

  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 デンゼル先生のキリッパリッとした立ち振る舞いにいちいち「かっこえええー」と終始クッション虐待モード(←映画を見ながら叩いたり、握りしめたり、投げたりする)だったんですが、ラストでちょっと面食らってしまいまして。

 

 ん? そこお礼言うところなの???

 

 ごくごく自然に人種差別とかWhite Supremacyの例を盛り込んでエンタメ作品していたので、すごい巧みー!と感心しまくっていて。

 潜水艦という閉じられた世界のなかでガッツリ現実世界の問題を反映させていて、こういう映画がつくれるってことは、ちゃんと問題を認識しているってことだよなと気持ちが上向きまくっていたんですが....。

 

 あらすじはこんな感じ。

 

 チェチェン紛争で反乱軍がロシアのミサイル基地を制圧し、アメリカと日本にミサイル飛ばすと挑発してきたことで原子力潜水艦アラバマに出動命令がでる。

 ミサイル攻撃の命令を受信し、そのあとでもう一度発射命令に関することで入電があるものの、通信機の故障で中身が確認できない。

 艦長のラムジーは最初の命令通りミサイル攻撃を実行しようとするが、最後まで受信できなかった命令が「ミサイル発射」とりやめである可能性があるからと副艦長であるハンターは未受信の命令を確認するまでは攻撃を実行するべきではないとミサイル攻撃の実行を承認しない。

 

 攻撃中止命令が出ているのにミサイルを発射してしまえば、ロシアとアメリカによる弾道ミサイル打ち合い祭りを誘導しかねないリスクを考えれば、受信しきれなかった命令の確認を重要視するのは当然だと思うし、もしこの艦が砲撃できなければ他の艦が攻撃を行うという手筈になっているのなら、ますます未確認情報がある状態で大勢の人間をあの世送りにする手段を実行にうつすことにこだわる意味がわからなくて。「このおいたん頭のネジがどっかとんじゃってるんじゃないのか???」と全力で阻止にかかるのが当然のプロトコルだと思っていたのだが、特典映像にあった脚本家さんの話によると、「後に発令された命令がきちんと届かなかった場合は先に受けた命令を実行すること」というのが正解らしくて、「マジか!!!」と顎がくーん状態に。

 まぁでも軍の考えることだしな。

 泥沼のような戦闘状態に巻き込まれまくった場合、命令を発したあと、命令を発した部署がやられてしまう場合もあるから、その一撃で勝敗を決することも....とかいうことなのか。

 むむ。

 でもだからってさあ!!!

 

 なんというか自分たちが一番最善の方法を知っているという思考回路がとってもWhite Supremacyに染まった考え方なわけで。

 その考え方にあてはまらなければ「ダメなもの」、「劣ったもの」扱いになる。

 これは人種差別だけでなくて職業差別や学歴差別、性差別、ぜんぶに共通することだと思うけれども。

 

 理にかなっているのはどう考えてもハンターだと思うのだけれど、聴問会(?)というのか、そこで出された結論はどっちも間違ってるーですって。

 軍規に照らしあわせればハンターが間違っていて、常識で考えたらラムジーが間違いってことな感じ??

 聴問会をしきっているお偉いさんの一人が「ラムジーは30年来の知り合いだ」とかって、完全にラムジーの肩をもつっていう。

 聴問会で判断する側に座っているのもぜんぶ白人のひとたち。

 わかりにくい言い回しを駆使して煙にまくやりかたもお手の物。

 さてはこれは悔しいハンターの気持ちを一緒に観客に一緒に味あわせて、White Supremacyの醜悪さに気がついてもらおうという算段か!すげえなこの映画。うますぎるぜー!と感心しまくっていたら、ハンターがラムジーにわざわざお礼を言いにいったので、「あれ?もしかしてWhite Supremacyの醜悪さをあぶり出そうとしたんじゃなくて、普通に描いたらそうなっただけで、作り手にはその意識がなかったっていうこと???」という疑いがムクムク。

 気がついていないサイドにデンゼル先生が含まれないことはもういうまでもないこと。スティーブ・ビコを演じてスティーヴ・ビコにすごく共感したというデンゼル先生がこんなあからさまなレイシズムに気がつかないわけがない。

 

 お馬さんのことを間違っていたとラムジーが認めたところはラムジーが自分が人種差別にもとずいてハンターを判断したと認めたとかそんな感じを意図した???

 それとも高学歴なハンターを叩き上げのラムジーが素直に受け止められなかったということを表しただけ???

 

 いずれにせよなんでハンターがお礼をいったのかがわからない。

 推薦してもらったお礼?

 あれだけ意見を戦わせたにも関わらず、きちんとハンターの能力を評価して艦長になる用意ができていると上に申告できたラムジーの人柄を尊いと思わせる場面だったってこと?

 いやでもあれは単に昇進を餌に黙らせたようにしか見えなかったですんが。

 ベテラン艦長に対して、年長者に対しての礼儀というか、叩き上げで経験を積み重ねてきたひとへの敬意を払ったということなら、ハンターは最初からラムジーを見下すようなことはしていなかったわけで。

 うーん。

 これデンゼル先生怒ったんじゃないかなぁなんてぼんやり思いながら🍅のレビューを見に行ったら、えらく馬の話で怒っている人たちが。

 なぜここで人種問題を持ち込む必要があるのか!とおこっていらっしゃる方が多々いて面食らった。

 人種差別のシーンは馬の話でしか示唆されていないと思っているひとたちが圧倒多数なら、それはつまりIMOLICIT BAIASの深刻さを物語っているわけで。

 人種差別を示唆するシーンはなにも馬の例え話だけではなくそこここにあふれまくっていた。さりげない船内の様子のインサートからなにから 「ああ黒人蔑視がまだまだ根強いんだなぁ」といたたまれなくなる場面がいっぱいあったのだけれど。

  ええっと。

 意図して問題を浮かび上がらせようとしたのではなくやらかしていたのなら、あれだ。 これは「クリス・モーガン」現象だ。

 もしかしてクリス・モーガンのあの無自覚のやらかし具合は特別なことではなかったということなのかな?

 クリス・モーガンの場合、ちょっと露骨に無知さらしすぎていたというだけで(←言い方)。  

 

 いや、私の見方が偏ってきてしまっているだけかもしれない。

 人種問題色眼鏡フィルターがかかりすぎてなんでもそういう風に解釈しちゃっているだけという可能性もでかいしな。

 うん。

 

 この映画がデンゼル先生とトニー・スコット監督がはじめて仕事をした作品。

 デンゼル先生がトニー・スコット監督のことを大好きになったということは、このあと4作一緒に映画作りをしていることからも疑いない。

 メイキングでもすごく楽しそうにしていたし。

  この時にトニー・スコット監督はデンゼル先生の俳優力に惚れ込んだなぁと思うとこの映画のことを悪く思いたくはない。(追記: どうやらこの映画の後、デンゼル先生の方からトニー・スコット監督にアプローチしたことが判明!詳細は「ハンガー (The Hunger)」でづ触れています)

 2012年にトニー・スコット監督は自ら命を絶ったそうだが、デンゼル先生、ショックだったろうなぁ...。

 

 むむん。

 

追記:

お昼間に「クリムゾンタイド」をやっていたのでついつい見てしまっていたんですが、ふと思ったんですが、この映画の1番のヒーローってこの子だったんじゃないかって😅

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 だって、ハンターが採用されたのってこの子が懐いたからだし。

ハンターもワンコを飼ってるから懐いたって理由づけはされていたけれども、でもまるで今回の危機を見通してご主人を守るにはこいつが必要だって思ったみたいな😅

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ミサイル発射を阻止した時嬉しそうに吠えてたし。

ハンターを潜水艦に乗せることでご主人を守ったワンコみたいに見えてしまいましたよ😂

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やっぱりデンゼル先生は最高にかっこよかったです!

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私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 88%

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