So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

アメリカン・ギャングスター ( American Gangster )

これはタイムリー!

アメリカン・ギャングスター [Blu-ray]

アメリカン・ギャングスター [Blu-ray]

  • 発売日: 2008/12/19
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

 なにがタイムリーって、私にとってとってもタイムリーな話だったということなだけなんですが(おい)。

 T.I.とLL cool Jの対談の中で「自分たちの界隈は本当にとんでもなく恐ろしかったしトチ狂っていた」という話をしていたのをきいたところだったので。

  あ、こういう感じだったのかと。

 もちろん現実はもっとすさまじくてこういう感じではすまされないのだろうけれども。

 

 ハーレム、クイーンズ、ブルックリン、イタリアン・マフィア、麻薬ディーラー、警察内の汚職。

 

 麻薬ビジネスで儲けている人たち、麻薬ビジネスで食べていけている人たち、なんというか麻薬とはいえ、考え方は普通にビジネスなんだなと。

 ”普通に”といういい方もおかしいのだけれども。

 

 デンゼル・ワシントンが演じるフランク・ルーカスは元々麻薬の売人バンピー・ジョンソンの運転手。

 ボスのバンビー・ジョンソンは麻薬でお金を稼ぐ一方でブラック・コミュニティへの貢献も怠らなかったことでロビン・フッド的存在でコミュニティの人々から愛されている側面もあった。

  バンビー・ジョンソンは1905年にサウス・カロライナに生まれ、10歳の時に白人を殺したと訴えられたことが理由で、息子が白人の集団リンチによって殺されることを恐れた両親が親戚に預けたという。

 1919年、姉と一緒にハーレムにすむことになる。

 バンビーが14歳の時だ。

 バンビーが生まれたのが南北戦争が終わって40年後のこと。

 10歳で白人殺害の容疑がかけられ、白人にリンチで殺される((首に縄をかけられ木でに吊され放置される)心配をするぐらいヘイトクライムが横行していた時代だ。

  祖父母は奴隷として不当な扱いを受けていた世代と考えると、バンビーが幼い頃から白人からの差別に怒りをふくらませていたことは疑いの余地はないだろう。

  フランクは12歳の時にいとこがKKKに殺されるのを目撃している。

 そのフランクがバンビーの庇護下にはいり、バンビーが62歳の時に心臓発作で他界するまで忠実な運転手であり、バンビーが一番信頼していた腹心の部下だった。

  バンビーのやり方を全てみていたフランク。

 

 バンピーはイタリアン・マフィアが仕入れてくる麻薬を売っていたが、バンピーのあとを受け継いだフランクは麻薬を自分で仕入れ、100パーセントの純度のヘロインを安価でさばいた。

 不純物混ざりのドラッグが出回っていたなか、あっという間にカスタマーの心をつかみ、利益をだしていく。それが面白くないイタリアン・マフィアに保護料を求められたり、汚職警官からも見逃し代を要求される。

 

 それまで不純物が混ざったものが出回っていたところ100パーセントの純度がフランクのせいで出回ったということは、多くの麻薬中毒者をだし、その中で育った子供がまた犯罪や麻薬に手をそめるという負の循環をつくってしまった要因をつくった人間の一人ということになる。

  と、同時に麻薬がらみではあるが多くの雇用も生み出し、フランクのおかげで生活できたという人たちも間違いなく大勢いたわけで。

 生産地から直接仕入れたおかげで、麻薬を売って得た利益はイタリアン・マフィアを仲介するよりもはるかに多くブラック・コミュニティに還元できたということになる。

  そのために犠牲になったのもブラック・コミュニティの人たちなのでプラマイゼロとはとても言えないが、それでもブラック・コミュニティにお金をもたらすことで発言力を得たというところも確かなことだ。

  

 Easy-Eが麻薬を売ったお金でN.W.Aのレコードをリリースできたように。

 LL cool JとT.I.がポッドキャストで話していたが、当時ドラッグの売買に手を染めていた人々は汚れたお金を少しでもポジティブなことに変えようとしていたという話をしていた。

  デイブ・シャペルも昔はマネー・ロンダリングのために行われたイベントの舞台に呼ばれることもあったと話していたし、DJやMCもディーラーのパーティによばれまくってギャラもすごくよかったなんて話をしていたし....

  もちろんだからといってやっぱりプラマイゼロにはならない。

 ドラッグ中毒やギャングの抗争などで親や子供、愛する人を失うはめになった大勢のことを犠牲にしていいということにはならない。 ならないけれども、フランクやバンプーがいなかったとしても、負の連鎖はおこっていたわけで...。

  

・麻薬を売るしか生活費を稼ぐ手段がない。

・麻薬を売って手っ取り早くお金のある暮らしがしたい。

・麻薬中毒者や犯罪が横行しても社会が気にしない(世論が騒がない)コミュニティ

 

 うーん。 なんだか何を書きたかったのか忘れてしまった。

 

 捜査という名目での汚職刑事警の蛮行もあますところなくシーンとして存在し(ワンコまで殺すなんて!!!!)、そこでフランクの罪を問おうとしても、どうしたって「あんたにそれを言う資格があるのか?」的な問いになってくるというか、人間としてひどいのはどっちなんだよ!!!と言いたくなってしまう感じで。

 

 あとマフィア界ですらも肌の色で差別を受けるのかとか。

 なんだかもう物悲しくなってくる。

 

Frank Lucas : My man. You know what normal is to me? I ain't see normal since I was 6 years old. Normal is seeing the police ride up to my house, dragging my 12 year old cousin out and tying him to a pole, shoving a shotgun in his mouth so hard they bust his teeth, then they bust two shotgun shells in his head, knocking it off. That's what normal is to me. Didn't give a fuck about no police then... Don't give a fuck about no police now.

 

 にしてもラストの出所してきたフランクがお迎えに来たリッチと久しぶりに街を歩くシーンがめちゃくちゃ可愛かったんですが!

 

 リッチがフランクにコーヒー買ってあげたり!

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↓フランクのコーヒーの飲み方があまりにも可愛すぎると物議をかもしだしたり。(は?)

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 刑事から弁護士に転職したリッチ。

 その後も二人はとっても仲良しだったとか。

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 なんだか面白い関係性だなぁと。

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 80%

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