So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

無実の投獄 (Crown Heights)

ー You never know how sacred your freedom is until it's jeopardized.

無実の投獄 (字幕版)

無実の投獄 (字幕版)

  • 発売日: 2018/02/01
  • メディア: Prime Video
 

 20年間にわたる理不尽との戦い。

 

 

 まったく身に覚えのない殺人容疑で逮捕され、目撃証言のみで有罪とされ15年の懲役を言い渡される。

 なんども無罪を訴え、裁判を起こそうとするがことごとく却下され15年をつとめあげる。

 しかし保護観察による仮釈放となる前の面談で自分が犯した罪についてどう思うかと尋ねられ、自分は犯してもいない罪で15年懲役されたというと反省の色がみられないと仮釈放してもらえず、罪を認めない限り刑務所の外にはでられないという事態に陥る。

 

 主人公のコリンは母親から頼まれ修理のすんだテレビを電気屋に引き取りに行った帰り道に警察に逮捕される。事件現場にいたわけでもなく、殺された相手のこともまったく知らない。

 殺された少年は走る車の窓から撃たれて死んだという証言により、コリンはその車を運転していた容疑がかけられていた。

 少年を撃ったアンソニーが運転手はコリンと供述したため、コリンは殺人の罪で15年間の懲役を言い渡される。

 

 ところがこの少年は背後から至近距離で撃たれて殺されたのであって、走る車から撃った弾で死んだわけではないことがすでに検死で報告されていたにもかかわらず、なぜかその事実はまったく無視され、上告することもずっと叶わなかった。

 

 最終的に少年を殺した実行犯である当のアンソニー(司法取引によって6年で出所)が自分は少年を殺した時に車なんかのってないし、歩いていって後ろから撃ったと、コリンの無罪を証明しようと諦めずにいたコリンの友人であるカール・キングに話したことでようやくコリン釈放の道は開けていく。

 他の目撃者たちも警察に聞かれた時怒鳴られて怖かったから警察が推してきた写真の男だったと証言しただけで、実際に見たわけでもなんでもなかったことが明らかになる。

 

 不当にコリンを拘束した警察、まともな仕事もできない弁護士のくせに高額な費用をふんだくる輩、濡れ衣でコリンを罰する看守など理不尽につぐ理不尽で見ながら憤懣やるかたなしで、20年たってから「あの時子供だったんだー」と嘘の証言をしておいていままで黙っていた人達やら、映画をみながらもう本当に腹が立って腹が立って泣きながら怒っていたわけなのだけど、ところがこのコリンという人はそこをつきぬけていたというか。

 もちろん当初は怒っていたし、自暴自棄にもなりかけたことはあったけれども最終的にまったく誰に対しても怒っていないという、刑務所暮らしで悟りをひらいたかのような穏やかさで、腹をたてまくっていた自分に恥じ入ってしまった。

 

 友達の証言でコリンという人物は自分を殴った相手が財布を落としたらそれを拾って届けにいってやるようなお人好しと話していたが、いやもうなんか。

 ただこの人はどんなに脅されようが、減刑を目の前にちらつかされたとしても自分がやっていない罪を認めることだけは頑としてしなかった。

 なんという強さだろう。

 

 高校卒業目前だったので17か18歳ぐらいの時に逮捕され、そのまま20年間刑務所で暮らした。 しかもその中でも裏切られたりリンチをされたり、不当な理由で2年にわたる独房生活を強いられたり、あげくに犯してもいない罪で15年間の懲役を務めあげたにもかかわらず、まだ反省の色が見られないと釈放してもらえない。

 そこからさらに5年も不当に拘束されていたのだ。

 にもかかわらず「誰にも腹をたてていない」と言えるこの人の強さはどこで培われたものなのか、もう本当に両手を合わせて拝みたい気分になる。

 

 コリンの無実を疑うことなく、彼によりそい続けた幼馴染であり恋人となりついには添い遂げることとなった彼女も素晴らしいし、なによりも彼の無罪を証明しようと20年間ひと時もあきらめることなく、自分の身を粉にして戦い続けてくれた友人であるカールも、もう本当にすごい。

 もしも他の州であればとっくに死刑にされている可能性もあったコリンさん。

 人を断罪する時はかならず可能な限り正確でなければならない。

 あとで「間違ってた。ごめん」ではすまされないことだ。(”ごめん”すらもいってもらえないし)

 被害者の苦痛ももちろん忘れてはいけない。

 でも、被害者のひとたちだって本当に自分を傷つけた相手を罰したいはずだ。

 

 いやそれにしても、警察の人に怒鳴られ続けたらそりゃめちゃくちゃ怖いし、見てなくても「見た」って言ってしまいたくなる気持ちはよくわかる。

 ニュースとか噂話とか毎日のようにきいていたら「その気」になってしまうし、思い込んでしまうことも容易にありえるわけだし。

 それに、一度疑いや不審庵を抱いてしまったらなかなか拭いされないし、とくに 私は洗脳されやすいし、のせられやすいからやらかす可能性が半端なく高い。

 それに、よく事件ものドラマとか映画で「この時間、あなたはどこにいましたか?」って質問されたりしてるシーンで、きかれたら覚えてる自信全然ないなぁ...とかよく思ってしまう。目撃者がいる状況でないことなんていくらでもあるし...いやはや。

 

 そんなことを考えると、コリンさんが言った言葉が一段と心にしみてくるわけです。

 ーYou never know how sacred your freedom is until it's jeopardized.

 

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- You never know how sacred your freedom is until it's jeopardized. It feels like I wasn't a person. I feels like I wasn't a person. You feel unloved. You want it to stop, but my life was not in my hands anymore.

 

- Got to be careful with the guards. They're small minded.

 

- I get to realise now that prison is more mental than physical. I have the power to at least control certain little things. I refuse to become whet they label me. That wasn't part of me.

I tell myself, "Go Back and Fight."

Get Out.

 ↑「Cry Freedom」 のビコさんのセリフを思い出しました。

- People in Colin's situation rarely get a competent defense at trial. The System doesn't work for people who can't afford to defend themselves.

 ↑こんな時にローマンさんマーシャルさんがいてくれたら!!!

- What do I have to give up on? They took everytinhg from me! Everything! And they gonna keep me in here until I say kill that man. You know I would die before I do that,

 ↑これまたビコさんを思い出して泣く。

 - I'm gonna do the next appeal myself. Brethren, 'cause I know what to do now. If we keep reaching for legal technicalities, we're game get no rhythm. There's not a judge in Brooklyn who's gonna let you out on murder charges unless he thinks you're innocent. We have to do our investigation and show them what really happened. Brethren, you didn't kill that man. We should be able to prove it.

- Why you still at this, man. You got your family, you got your job , you got your life. You know, why you...why you keep wasting your time on me?

-It's not just about you. It's bigger than that. It could be me in here. sometimes I feel like it is me. There’re some things we might not be able to correct in life, but as fears learning an innocent man in jail, we can't let that stand. This never should've happened.

 

- I'm not angry at nobody. Everybody has a burden to bear. This is my burden. And hopefully, I can come strong from this and more on with my life.

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 77%

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