So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

ソルジャー・ストーリー (A Soldier's Story)

 1944年、ルイジアナ州の陸軍基地である夜、黒人部隊で野球チームの監督だった軍曹が何者かに殺される。

ソルジャー・ストーリー (字幕版)

ソルジャー・ストーリー (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 犯人を捜すため、ワシントンからダヴェンポート大尉が派遣されてくる。はじめてみる黒人の将校に白人将校たちは戸惑いを、黒人兵士たちは驚きと喜びを隠せない。

  第二次世界大戦の黒人部隊の扱われ方が「グローリー(Glory)」に出てきた南北戦争で結成された黒人部隊とあんまり変わらないことにまず驚く。

 そもそもデンゼル先生だって「グローリー」に出るまで南北戦争に黒人部隊が存在したというのを知らなかったし、学校でも教わらなかったと思うと話していたし...。

 

 偏見や人種差別に基づく証言に惑わされることなくダヴェンポート大尉が法律家として可能な限り客観的立場をとって事件の真相に近づいていくというのが映画の大半を占めているのだけれど、最後まで興味深くみられた。

  突き詰めていけば謂れのない人種差別が尾を引いて、お互いに諍いあってしまうという苦いというかやりきれない現実がじわじわと浮き彫りになっていき、なんだかたまらない気持ちにさせられた。

 

遠い夜明け(Cry Freedom)」でみたスティーブ・ビコの言葉を思い出しては、つまりはこういうことなんだなぁとか鬱々と納得してみたり。

 でもまぁ口は悪いし、態度もとんでもなく差別的だったけどそれでも公平に事件の犯人を探し出そうとしていた白人の軍曹の人とダヴェンポート大尉のラストはちょっと救いを感じたというか。

 どうしたって個人レベルでお互いに少しずつ歩み寄っていくしか真の解決はないんだよなーと。 こういうことは個々が意識を変えていくしかないんだし。

 ないものとして口を閉ざしたり、見えないふりをしてしまうよりも、いっそお互い出し切ったところで、認め合うということもあるんだなぁ...って感じで。

  でも「グローリー」の時と同様、これで自分たちのことを認めさせるんだという思いを胸に誇らしげに出陣していく黒人部隊の姿をみると胸が痛くなる。

 だって、これは1944年のことだから、この先もまだまだとんでもなく長い長い道のりがまっているわけで。

 

  そうそう、ハービー・ハンコックが音楽を担当していておおーっとなった。

 「マイルス・デイビス: クールの誕生 (Miles Davis: Birth Of The Cool)」に愛弟子みたいな感じで出てきた人だったので。

 ヒップホップがブラック・ムービーの音楽を席巻するようになるまではジャズが主流だったのかしらーなんて。

 

 デンゼル先生のカメレオン・アクターぶりもしっかり堪能できる一品。

 まぁ私がデンゼル先生目当てでみているせいもあるのかもしれないけれど、どうしたって目がいってしまうし、なんというかやっぱりグレーゾーンな人物像を魅力的に演じる技に長けてるなあと。

 

 ダヴィエンポート大尉すごくカッコよかったのに。演じていた俳優さん、46歳の若さで他界されている。。。

 

追記: 「13th」をみた後では個人の歩み寄りだけで済む問題ではないことがあきらかで一段と苦い気持ちになる...。

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 90%

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