これは難しい映画だった。
難しいといっても内容が難しかったということではない。
映画自体は見る前に気構えていたよりもはるかに見やすかったと思う。
"Here is something you can't understand. How I could just kill a man."
主人公は幼い頃から一緒につるんでいる4人の少年たち。 Q、ラディーム、スティール、ビショップの物語で、彼らはとても仲が良かった。 4人は別グループの少年たちと喧嘩したり、ミックステープを作って小金を稼いでおり、そのためにレコードを万引きするなどの悪さをするときも一緒だ。
ところがある日、彼らの知り合いの少年が銃をもってコーヒーショップで強盗を行うところに遭遇したことがきっかけでラディームが銃を入手し、自分たちも押し込み強盗をやろうと言い出す。
しかしプロのDJになることを真剣に夢見ているQはその日、 オーディションに受かってDJバトルに出ることになったと断ろうとするが、ラディームたちはそれを自分たちのアリバイ作りに利用しようと盛り上がり、結局Qも一緒に強盗することにする。
万引きから拳銃強盗、殺人までのスイッチのしかたがおそろしく他愛もなくて怖い。全てが友達同士のノリと勢いの中で進んでいってしまう。 銃を持っての強盗は、強盗だけではすまされず殺人に発展してしまう。 それも銃を突きつけられた相手に抵抗されたからではない。ただ撃ってしまうのだ。
引き金をひいたのはビショップで、そこからビショップは銃にとりつかれたようにラディームを殺し、スティールを撃ち、そしてQも殺して全ての罪をなすりつけようとする。
もう一度いうが、彼らは幼じみの仲良しグループだったのだ。
ある意味、「Better Luck Tomorrow」と同じことを描いていたのかもしれない。
他愛のなく殺人という一線をこえてしまう若者たち。
「Better Luck Tomorrow」も銃がきっかけだったが、銃は簡単に人に殺人を犯させてしまう。
とはいえ、なぜそうなるのかという理由をそれだけに見つけるのは難しい気がする。
他にもなんらかの理由はあるのだろうと思うが、もしかしたら本当に理由などないのではないかとも思えてくる。(成長期のホルモンバランスの悪さのなせるわざとか...?)
一線を越える越えないの境目や決定打は人によって違うから、その一線を越えぬよう自分を律する力を蓄えるしかない。
一度一線を越えてしまえば、なし崩し的に禁忌感が薄れていってしまう。
その辺りの心理というかメカニズムを理解するのがどうにも難しい。
この映画はそのことをいいも悪いもなくポンッとありのままを提出してきたという印象。これがずっと続いてきているアメリカのとある街の若者たちの日常なのだと。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 79%