Q:「ワイルド・スピード」は1作目からなぜマルチ・エスニックなキャスティングを実現することができたのか?
A: 最初からそれが目的だったから。
いろいろ検索していくうちに面白い記事がひっかかった (記事というか2010年に出版されたヴィン兄について書かれた電子本「Vin Diesel XXXposed」のプレビュー)
「Racer X」の記事に最初に目をつけたのがユニバーサルの幹部の人だったという話だ。映画にできるポテンシャルがあるのではと考え、ロブ・コーエン監督とヴィン・ディーゼルに打診したらしい。
「Racer X」の記事を読んだ当初、ロブ・コーエン監督はあまり乗り気でなかったらしい。ところが、取材がてらに輸入レース・カーの展示会を見に行って考えがかわったとか。そこには大勢のレーサーたちが集まってきていたようなのだが、その身なりと人種の多様さにひらめきを覚えたらしい。黒人、白人、アジア人、ラテン系のグループが車やレースを通して暴力抜きで交流していることに感銘をうけ、彼らの文化を映画に映し出すという方向で構想を固めていったという。
ヴィン・ディーゼルは難しいという噂をきいていたロブ・コーエン監督はとりあえず会いにいったらしいのだが、そこで二人はすっかり意気投合したのだとか。かくして二人はタッグを組んで映画をとることとなる。ヴィン・ディーゼルはストリート・レースのリサーチにも実際に赴き、ストリート・レーサーたちの信頼を得ることができそれが映画の成功につながった...とかどうとか。
さらにこの記事にはヴィン兄が続編を断った理由も書いてあった。
有体に言えば今後のキャリアに悪影響を出さないため、というのが理由だ。
まぁ、どこまで臆面通りに受け止めていいのかわからない。
繰り返すが、この本の信憑性のほどは知らない。(←プレビュー読んだだけだし)
でも、これを信じていいなら、すごく腑に落ちるのも事実だ。
ってか、やっぱりヴィン・ディーゼルは最初から続編に出るつもりはなかったんじゃん!!
前にも書いたが、もめたにしては2作目ができるまでの時間早いよなぁと感じたのだ。
「ワイルド・スピード X2」のプロモーション・ツアーでのインタビューで、ニール・モリッツがこんなことをいっているのも見つけた。
「どの時点でヴィン・ディーゼルは2作目には出演しないということになったんですか?そのことで何か支障はありましたか?」と質問され、ニール・モリッツは「実のところ早い段階でヴィン・ディーゼルが2作目には出ないとわかっていたので、私とユニバーサルの幹部とでタイリース・ギブソンにこの映画に興味があるか話しにいってたんだ。候補はタイリースしか考えていなかったのでシナリオもタイリースに合うように書いた」と答えている。
やっぱりか!
ポール兄さんがこのことをいつ頃知らされたのかはわからない。
しかし、ヴィン・ディーゼルとロブ・コーエン監督が続編には関わらないときいた時は動揺したことはインタビューで認めているので、タイリースの出演が確定してから知らされたんだろうなぁと。
このインタビューではタイリースも興味深いことを話している。
まず、「続編をオファーされた時どう思ったか?どうしてそんなに早く一員として馴染むことができたのか?」と尋ねられ、大きなチャンスをくれて、みんながとても気持ち良く迎え入れてくれたから自分も頑張ろうと思った...などなど感謝の気持ちを語った後、 「一番気にしたのはポールのこと。ポールがファンに背を向けることなく続編にでると決めてくれたから。ポールがもし続編するなら、彼が気持ち良く仕事ができる現場にしたいって思った」と話している。
タイリースの口ぶりから、ニール・モリッツも契約を振りかざしてポール兄さんに続編出演を強要したというわけではなさそう(...と思いかけたけど、出るって言ってからヴィン兄が出ないって知ったんだったら....まぁ、今は深くは考えまい...)
ニール・モリッツはこんなことも言ってる。
「このメンバーで3作目もやるつもりか?」と尋ねられ、「もしみんなが戻って来たいなら是非そうしたい」といい、そこにタイリースが「おれはヴィン・ディーゼルみたいになるね。戻ってきて欲しいって大金つまれて頼まれる」とちゃちゃをいれると、ニール・モリッツが「そういったこともこの映画を作るのが楽しかった理由の一つだよ。昨日妻にも”あなた本当にもう一作つくりたいの?”きかれたけれど、こればで映画をつくってきたなかで今までで一番楽しかったんだ。また機会があるなら即やるよ”と。
この口ぶりから、このメンツでやるのは最初からこの1作だけということに決まってるっぽいなぁと。
これも憶測だが、このコンビで3作目のGOサインが出ていたのではないか。
ニール・モリッツによると、サクラメントで行ったテスト・スクリーニングでは1作目よりも2作目の方が好きと回答した客が90%だったという。これならスタジオ側がGOサインを出していてもおかしくないように思うのだが。
これも推測だが、続編にGOサインがでてジョン・シングルトン監督にオファーした時点で、ニール・モリッツとユニバーサルの幹部の人は3作目はジャスティン・リン監督でいくと決めていたのではなかろうか。
ヴィン・ディーゼルに戻る気がなかったのなら、ポール・ウォーカーとタイリース・ギブソンで3作目でいってもいってもよさそうなものだが、そうなれない複雑さ。
ポール兄は、もともとヴィン・ディーゼルがこだわりぬいて1作目をつくりあげていたことを目の当たりにしているわけだ。もしポール・ウォーカーとタイリース・ギブソンで3作目にでてしまえば、シリーズを乗っ取った形になってしまう。もしくは、結局白人俳優が主役の座を奪った風にもとられかねない。
さりとて3作目にGOサインがでているわけで、この作品が持つ役割を考えればこのまま終わらせるのももったいない。
だから「ヴィンを引っ張り込もうとしているんだけど...」というポール兄さんの発言が出てきたのかな?
ヴィン兄がかかわってくれれば本来の意味を失わないで3作目ができると思ったのかな。もっともそれで自分が必要とされて3作目にでることになって、タイリースがでないとなれば、オファーを断らせておいて、自分だけというのも筋にあわない。
ポール兄がこう言っていたのは2003年の5月のインタビューなのでプレミア上映まえだから、やはりテスト・スクリーニングで3作目のGOサインは出ていたということだろう。
ちなみにこのニール・モリッツと一緒に「ワイルド・スピード」を始動させたユニバーサルの幹部さんなのだが、2017年よりネトフリの映画部門の責任者に就任していらっさる。
なんかどうりでやたらニール・モリッツ印映画勧めてこられるわけだよー!
まさかこんなところにつながってくるとは思わなかったぜい。
ネトフリでは現在ジョン・シングルトン監督の「Boyz n the Hood」も配信されている。もしかしたら、1991年に公開されたこの映画が全ての始まりだったのかもしれないなんてことも思ったりなんかして...。
やれやれ。