「ジャスティン・リン監督のこだわりの源であり「ワイルド・スピード」がシリーズ化した鍵となった”ハン”というキャラクターが誕生した作品。
上流中産階級のアジアン・アメリカ人、ベン、バージル、ダリク、ハンの高校生活を描く。
リズムとテイストはどこか「トレインスポッティング」を彷彿とさせる。
アジアン・アメリカンといっても、なんというか内に巣食う鬱々としたものは、日本でもおなじみの感覚で。溜め込んで突然キレるというのはアジア人...というかモンゴリアンに共通した特性なのかしらとも思ったり...それとも中産階級の特性なのかしら。
経済的に不自由な暮らしをしているわけではなく、成績もよくて大学に進学することが普通の選択といった状況。小金を稼ぎたくてはじめたちょっとした悪さが次第にドラッグや銃所持へとスライドしていく。
しかし、そこに明確な理由はない。そのとき、そのときで下した些細な決断に従っていくと気がつけば、とんでもない深みにハマりこんでいる。
といって、その決断の理由は「まぁいいか」的だったり、「仲間がにつきあって」とか、「たまたまムカつくことが重なってたその怒りを溜め込んでいた」からとか結構他愛なかったり曖昧だったりする。なんというか、別にそうしなければいけない理由はどこにもないのに、横滑りしていく感じとでもいうのだろうか。この感覚はよくわからないが、これはもしかしてものすごくリアルだったりするのだろうか。
他愛のない高校生活のスケッチのようであったのがどこからか暗い影を落とし始め、そしてこの先彼らはどうなるのかということも気になったりするが、むしろなぜ彼らはあのときああしたのだろうという「なぜ?」という疑問がわいてくる。
わいてくるが明確な答えはおそらく当人すらも知らないのではないかと思う。
難しいことはさておき、これがハンの初登場の作品となる。
ジャスティンにとって特別なのはハンというキャラというよりはサン・カンの存在感なのではないかと感じた。
画面に映っていれば自然に目がいく。惹きつけられる。それほどセリフが多いわけでもなく、他のキャラのようにクライマックス的なドラマチックなシーンが用意されているわけでもない。にも関わらず1番印象に残る。身に纏った雰囲気というか空気感が妙に涼しげとでもいうのか、ずば抜けすぎていてサン・カンだけが浮いていたといってもいい。
この存在感にふさわしい舞台にたたせてみたいという思いがジャスティンにあったんじゃないかと思う。で、ハンを演じている時のサン・カンがジャスティン監督史上1番セクシーでカッコよい存在に見えたんじゃなかろうかとか。
このBetter Luck Tomorowのハンが世界を股にかける犯罪者となりドムとであって居場所をみつけ、そしてジゼルと恋におちる。あのとき、同じ高校に通って、一緒に悪さしていたアイツが。
それって最高にクールじゃん的なことをジャスティンは思ったんじゃなかろうかとか思った。
サン・カンの存在感は通用すると確信していたんだと思う。
いや、でもそれはすごくわかる。
「Code 8」でもやっぱりいい存在感あったし。存在感だけでいうなら、とっくに主演をはっていたり、脇キャラにしてもいい作品に出ていても絶対おかしくない。
サン・カン主人公でなんかよい作品をつくりなよ、ジャスティン。
完全なぽっちゃりさんになっちゃう前にさぁ...(←おい)
- You know how you make decisions that lead to other decisions?
- Yeah.
- Then you realize you don't remember why you made those decisions in the first place.
私の好み度:⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 81%