So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

イドリス・エルバ、ポール・ウォーカー主演「Takers (2010)」ネトフリで配信中!

 ネトフリにログインしたら「Takers」を勧めてきた。

 おそるべし!

 

 ネトフリで配信されるようになったのは最近になってからなのかな?  また見返したいなぁとは思っていたので、この機会に見てみた。

 前回見たときは揺れ揺れのカメラワークがちょっと苦手だったのと、何よりも主要キャラが多すぎて顔と役割を覚えきれなかったりしていまいちのりきれない部分もあったんですが、今回はメインキャラの顔はちゃんと覚えていたし、人物相関図も把握できている状態だったおかげか、すんなりと楽しめた。

 ”ああ、このシーンであれを説明していたのか”というような前回見落としていた細々したことにも気が付けたり。

 「ミニミニ大作戦」を見たときに金庫強奪のシーンをみて、「Takers」のあれってオマージュだったのかーと思ったら、なんのことはない。T.I.演じるゴーストが最初に仲間に計画を話すときに「イタリアン・ジョブ」としっかりセリフで言ってたし!  

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  まぁ、私にとってはこの映画、イドリス・エルバとポール・ウォーカーがいいスーツ着て並び立っているというショット見せてくれたというだけでもう十分満足なわけで。よくやってくれたよ本当にありがとうと心から感謝の意を述べさせていただきたい感じ。  

 

 ポール兄さんの作品をいろいろ攻略してきたけれど、兄さんのビジュアルをこの映画ほど活かしきった映画はないと断言できる。  

 いや、本当に、ここまで兄さんがおめかしした映画はない。  

 加えてイドリス・エルバがノリノリでアルファ・メール・オーラをムンムンと醸し出してくれている。理屈抜きでかっこいいのだが、横に並んでしっかり釣り合うっていうのはやっぱりすごいと思う。

 それにイドリス・エルバの説得力ありすぎる演技にいい具合につられたのか、この二人のシーンではポール兄さん、なかなかいい感じに芝居できている。 

 もっともこの時の兄さんがのびのびしているのはイドリス・エルバのおかげだけではないかもしれない。  

 この映画の撮影が終わったあと、兄さんはホワイトシャークの生態をさぐるためのタグ付けをする調査船に同行することになっていたのでテンションがあがりまくっていたと思われる。  

 そもそもこの映画のオファーが来た時にはすでにこの計画はスケジュールに組み込まれている状態。2008年は前半はワイスピ・シリーズ4作目の「ワイルド・スピード MAX (Fast and Furious)」の撮影、後半はホワイトシャークを調査船で追うという大冒険という組み立てになっていた。

 というわけで、「Takers」の撮影が後半の予定に食い込まない、シーンの追加撮影や、撮影中の取材などには関われないことを先に話し、それでも構わないということだったので、だったらやりましょうという感じでの参加だったようだ。  

 「Takers」の撮影は9月半ばにスタートしているが、兄さんが関わるシーンが先に撮影されたはずだ。

 コメンタリーで話していたが、一番最初に撮影されたのは銀行強盗のあと全員がおめかししてクラブに集合するシーン。  

 全員がそこではじめて顔を合わせたのに、すんなりと意気投合。座る席やら何やらでもめることもなく和気藹々な空気が出来上がっていたそうである。  

 実際そのシーンはみんないい感じに楽しそうである。

 ヘイデン・クリステンセンがピアノを弾いているがあれは本人が演奏しているそうだ。

 ヘイデン・クリステンセンといえば私はアナキンしか見たことないのだが、彼も演技に関してはポール兄さんと似たような評価を世間から受けているようで、二人がキャスティングされたことを報じる当時の記事をいくつかみたが、なんとも容赦ない文面が踊っていた。

 二人がキャスティングされる前に発表されていたのがマット・ディロンとイドリス・エルバで、マット・ディロンは刑事役でイドリス・エルバが強盗団の一味という具合で先に記事になっていた。その数ヶ月後にポール・ウォーカーとヘイデン・クリステンセンがキャスティングとアナウンスされたせいか、どの記事も「おい、ちょっと待て」という感じのリアクション。二人とも演技の振り幅が少ないのに大丈夫なのか?的な。   ヘイデン・クリステンセンについてはじっくりみたことがないので、彼の振り幅がどのくらいのものかは知らないが、ポール兄さんに関しては、まぁ、気持ちはわかる。 

 しかも、その記事ではポール兄さんが強盗団を率いるリーダー役とあったので、映画をみたあとであるにもかかわらず、「兄さんをリーダー役にって...Are you kidding me?」となってしまった (ごめん、兄さん)。  

 イドリス・エルバがすでにキャスティングされてるわけだから、刑事と強盗団のビシバシの駆け引きドラマな感じだったら、やっぱりそこはイドリス・エルバだろう。ってか、イドリス・エルバでお願いしますと間違いなくなる。こんなにポール兄さんに沼っててもやっぱりなる。  

 ひょっとしたらスタジオに対する対策だったのかななんて思ったり。万が一主人公は白人でなきゃと言われた時用対策とか。  

 いや考えすぎだな。最近の悪いクセだ (先日「Legion」見た時も真っ先にアフリカン・アメリカンのキャラクターが二人殺されて、なんだかそこからどん引いてしまった...。←洗脳されやすい)。  

 プロデューサーのウィル・バッカーによれば兄さんはFirst Choice。

 兄さんの話の感じだとスタントマンさんチームが知り合いだったようなので、車落とすスタントのショットは兄さんだったら話が早いよ的なオファーだったのかもしれないし。ポール兄さんもヘイデン・クリステンセンもビジュアルはバッチリなので、ようはそれがオファーの理由かもしれないし。  

 ヘイデン・クリステセンとの共演は何気に兄さん嬉しかったようだ。

 アナキンは唯一兄さんがやりたいと思ってオーディションにトライしたそうだけれど、おっこちたとインタビューで話していたことがある。当時のUSA若手俳優はみんなこぞってオーディション受けたそうだけど、受かったのは名前もしらないカナダの俳優だったーと残念そうに。「まぁ、彼なら自分たちと違ってちゃんとセリフ覚えてくるよね」と。

 ちょっと待て。

 USA若手俳優陣...セリフ覚えてこないのか???  

 私が大好きな英国俳優さんでデイヴィッド・テナントという俳優さんがいるのだけれど、その人が俳優になりたい人たちや俳優業をスタートさせたばかりの息子にもきかせた俳優の心得が「遅刻しない、セリフを覚える、ランチタイムで並ぶ時に列を抜かさない」の3つ。それを思い出してしまったがな。

 意外に、これができない俳優さん多いのか???(そういえばポール・ウォーカーを褒めるインディーズの監督さんがまずいうことも「遅刻しないで現場にきてくれるんだー」とまずそこを褒めちぎっていたな...)

 話を戻そう。

 キャスティングされたと発表されただけで、「あいつらにそんなことできる演技幅あんのか?」的に書かれてしまっているのをみるのはちょっと切なかったけれど、でもなかには「Running Scared」ではいい演技をみせていたけれど...と書かれているのもあってそれは嬉しかった。頑張った甲斐があってよかったね、と。

 余談だが、イドリス・エルバは「The Wire」をやって以降、似たような役ばかりオファーされるのでしばらくは「The Wire」についてインタビューで語らないようにして、イメージを消すのに苦心していたそうだ。

 そこでいくと、イドリス・エルバがこの役を引き受けてくれたのもすごくラッキーだったとしかいいようがない。

 で、イドリス・エルバがこの役をやってもいいと思ってくれたのにはT.I,とクリス・ブラウンの存在が大きいだろう(マット・ディロンですらセットから歌声が聞こえたーとテンションあげてたし)。

 イドリス・エルバは元々DJで、1990年代にはサンフランシスコでDJとして活躍していたらしい。心はしっかりミュージシャン。とあるインタビューで「UK Hip Hop, Yo」と言った時のイドリス・エルバのおちゃめぶりには瞬殺される可愛さがあった。

 T.I.とクリス・ブラウンからMix Tape用の楽曲を提供してもらったと嬉しそうに語り、さらにTwitterでも「Takers」のMix Tape作りたいからと楽曲提供してーと呼びかけていた。ネトフリで「Turn Up Charlie 」を見た時はその履歴全然知らなかったよ、ごめん。  

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 ええっと、話をポール兄さんに戻そう。  

 というわけで、兄さんの顔が映らないシーンは兄さんが撮影があがってから撮っているものも多いようで、そこはボディダブルさんが担当。  

 強盗でマスクしているシーンもボディダブルさんと思われ。

 あと全裸ショットもボディダブルさん。

 忙しい俳優さんのスケジュール合わそうと思ったら、ボディダブルさんの出番なんだなと学ぶ。  

 そういえばタイリースがピアースの手袋の隙間から見えている手の肌のショットを撮るためだけにジャステインにロンドンに呼び出されたーとぶーたれていたなぁなんてことを思い出した。ジャステイン曰く、タイリースみたいな肌の色のボディダブルさんが見つからなかったからーと。  

 先ほど話に出したデイヴィッド・テナントだが、この人はちょっとしたショットでも明確に「これは俺の手じゃない」とか「これは俺の足じゃない」とかコメンタリーで言っていて、よくわかるもんだなぁと感心したことがあったのだけれど、彼の場合、そういったショットも「自分でやりたかった!」と悔しそうだった。ちなみにデイヴィッド・テナントさんは3歳の時から俳優になると決めていて、そこから一度たりともぶれることなく俳優業につきすすんできた俳優さんだ。

 演じることが心から大好きな人で、毎回何かしらの驚きをくれる。彼の新作品をみる時はいつもあの役をどんな風に仕上げたんだろうかというのが楽しみで、そしていつも期待を上回る作り込みをみせてくれる。ついでにいえば、 この人も現場の評判はめちゃくちゃいい。テナントさんのことは大好きだからついでに話をねじこんでおく。

 

 「Takers」のプロモーション雑誌とかでどうしてイドリス・エルバーとポール・ウォーカーのかっこいいフォトシュートをやっておかなかったんだろうとなんとなく残念に思っていたのだが、なるほどホワイトシャーク追いかけてたんじゃしょうがない.

 ついつい忘れがちになるが兄さんは本当は海洋生物学者になりたかった人なのだ。

 

 

  そうそう。T.I.の話だと続編も考えていたそうだ。

 オリジナルメンバーで。全員招集となれば過去の銀行強盗の話か。

 仲間として信頼しあっていた頃の話でやりたかったのかもしれない。

 この続きだとすればこの作品で生き延びたのはゴードンとジョンとゴースト、そして刑事のジャック。イドリス・エルバ、ポール・ウォーカー、T.I.、マット・ディロン。

 T.I.は当時プロデューサーでもあったのでこの作品には思い入れが強かったようで、ひょっとしたらゴードンとジョンのコンビをもう一度見られたかもしれないと思うと、残念だ。

 

 

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