「ワイルド・ライフ」流れでのなんとなく視聴....していいような映画では全然ありませんでした...(涙目)。
人が人をここまで人として扱わなくなるということがとてもショックでしかなく。
見ながら「なんでそんなことするのー??? 信じられへーん!何がしたいんか全然わからへん」とばかり繰り返し口にしていたような気がする。
どの時点でこんなにも事態は取り返しがつかないようなことになるのか。
どこかで止める術はなかったのか。
1番いやだったのはピアニストのシュピルマンがドイツ人地区のアパートに隠れ住んでいた時、となりから出てきた女の人がシュピルマンを見つけて鬼の形相で「ユダヤ人よ!通報して!」と憎しみを全開に怒鳴りまくってきたところ。
いったいどこをどうしたら唐突に現れた相手に対してそんな憎しみをぶつけることができるのか。
排除しなければならないものとして徹底的に刷り込まれている。
その女の人がどうというよりも、そうなってしまう可能性が立場さえかわれば誰にでもあるということが嫌だったし怖かった。
もちろん中にはそうならない人もいる。
例えばシュピルマンを見つけても通報も射殺もしなかったドイツ軍の大尉。
シュピルマンを匿おうと力をつくしてくれたかつての友人たち。
まともな判断ができるひとたちはもっといたかもしれない。
でも、声をあげれば自分の身があぶなくなる。
その段階にいってしまうまでに、どうにかすることはできなかったのか。
その時代の中にいるときっとすごくすごく難しいんだろうなと。
それしかいつもわからない。
印象に残ったのは、シュピルマンが破壊し尽くされ全ての建物が瓦礫と化した街にふらふらと彷徨いでたときの光景。
あまりにも不毛で。 恐ろしいような美しいような。
気がつけば地球上でシュピルマン一人しか生き残らなかったような。
シュピルマンはまるで台風の目の中に入り込んでしまったかのように、奇妙に暴風にはさらわれない存在で、この戦争はどこか遠い世界のことのようもあり、でも確実にこの人を苛んでいるものでもあり。
変な話、なんだか絶滅危惧品種に追い込まれていくイキモノたちが感じる感覚ってこんな感じなのかもとか思ってしまった。
タイトルは忘れたけれど深夜にみたリスのドキュメンタリーに似たものを感じた。完全にリス目線なドキュメンタリーで森林がどんどん人間に侵されていくのをリスの立場で感じられるような不思議なドキュメンタリーで、「リス、可愛いー」と安易にみはじめたらとんでもなく震撼とさせられたという。
リスだから周りの変化になすすべがなくて、怖くてたまらないんだけれど、密やかにとにかく生きのびる。
どうしようもないけれど、でも生きる。生きてる。
シュピルマンもそんな感じで。
そういえばお顔もちょっとリスっぽかった。
ポランスキー監督って...あの「ワンス・アポン・ア・ハリウッド」に登場していた...あの監督さん。
名前だけはなんとなくきいたことあって知ってたけれど、冴え冴えしさがあまりにも恐ろしくて、映画館の大画面でみていたら当分トラウマになりそうな。TV画面でも十分怖かったけれど。
あ、リスのドキュメンタリーは「楢(なら)の森に守られて ~ペルシャリスの四季」でしたー。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 95%