So Be It

映画の観方と楽しみ方を勉強中。ネタバレを含んでいますのでご注意ください

Tammy And The T-Rex

ワタシ史上最悪の映画視聴体験になるんだろうなぁと覚悟をもっての視聴。

Tammy And The T-rex [Blu-ray]

Tammy And The T-rex [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Vinegar Syndrome
  • 発売日: 2020/01/28
  • メディア: Blu-ray
 

 というのもですねぇ...

 

 まぁ、あらすじを読んでみてくださいな。

 

 主人公は女子高校生のタミー。タミーは人気者のチアリーダー。そんなタミーにアメリカンフットボール部のマイケルが想いを寄せていた。ある日、マイケルが思い切ってタミーに告白したところ、そこへタミーの元カレであるビリーが目撃。ビリーはタミーに未練たっぷりで、マイケルに殴りかかる。ビリーの脅しにもかかわらず、タミーとマイケルは急速に接近。キレたビリーは仲間を引き連れマイケルにさんざん暴行を加えたあげく、ライオンやヒョウなどが放し飼いにされている猛獣パークに置き去りにする。マイケルはライオンに襲われ重傷を負い病院に搬送されるも意識が戻らない。そんな時、ロボットの恐竜に入れる脳を探していたマッドサイエンティストのワッチェンステイン博士は病院で意識不明となっているマイケルに目をつけ、身寄りがないと知った途端、マイケルを病院から攫い、その脳をロボット恐竜の頭に移植する。

 

 悪趣味で無駄にグロそうで、血とか人間の身体が破壊される系がとにかく苦手なので、見る手段がなさそうだと分かった時はむしろホッとしたのですが、どういうわけだか今年に入ってブルーレイで復刻しましてねぇ....。。。

 ええ、ええ。 これに出ていらっしゃるんですよ、ポール・ウォーカーさんが。

 円盤買って見ましたよ(涙)

 

 にしても、荒唐無稽という言葉をもってしてもカバーしきれないトンデモ話はどこから湧いて出てきたというのか。

 

 これにはこんなわけがありました。

 

 むかしむかし、南アメリカで劇場やらエンタメ施設を所有しているおっちゃんがテキサスにあるテーマパークに設置するのにちょうどいいんじゃないかなと思ってアニマトロニクスのティラノサウルスをゲットしました。

 テーマパークに輸送するまでまだ2週間ほどありまして、おっちゃん、ひらめきます。

 「これで映画できんじゃね?」

 おっちゃん、さっそく紹介された映画監督スチュワート・ラフィルにコンタクトをとります。

 

 おっちゃん「恐竜もってるんだ。それで一本映画つくってくれ!」

 監督「どんなストーリーはですか?」

 おっちゃん「ストーリーなんかないよ」

 監督「......つまりシナリオはまだないんですね?」

 おっちゃん「2週間後には恐竜をテーマパークに送らないといけないからそれなでに撮影を終えてくれ」

 

 というわけで監督は約1週間でストーリーを書き上げました。撮影期間も約1週間。

 撮影は監督のお家かお家から25分以内でいけるところでカバーしました。

 

 撮影されたのは1990年6月末。

 この映画の撮影は"Painted Cave Fire"と呼ばれる山火事に南カリフォルニアLAが見舞われている最中に行われました。

 避難指示が出る中、「このチャンスを逃してなるものか!」ともくもくと煙が立ち上り、炎と煙で不気味な色に染まった空とティラノウルスの背中にのったタミーちゃんを撮影したシーンが映画のなかに!

 特殊効果と思いきやマジ火事ですよ!

 こんな感じで二人で逃避行ですよ。

 空が映るとそれはそれは不気味な色になっておりましてね。

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 命がけ?

 リアルに命がけ???

 

 この逃避行、捕まったらマイケルがマッドサイエンティストの手に落ちちゃうか殺されちゃうから劇中的にもけっこうハラハラなシーンだったりします。

 そうなんです。恐ろしいことにこの映画それなりに面白いんですよ (それとも面白いと感じてしまった自分を恐れるべきなのか...)。

 手作り感満載すぎてどうしようかっていうセット。

 キャストはみんな初めて映画に出演するような若い俳優さんたちばかりで演技は不慣れ。でも、熱意はすごい。 ってか、熱意だけがすごいというのか。

 アニマトロニクスで頭やら口やら手やら多少は動くとはいえあくまでも巨大なゴム人形なティラノサウルス。

 しかも手がちょっと体に見合わず小さい!

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 こいつをもうあの手この手で撮影角度変えてみたりで、彼に“マイケルの脳が入っている”=”マイケルの心が宿っている“ということを表現してみせなくてはいけないんだけど、それが案外ちゃんとやってのけてるんですよ。

  気がつけば恐竜に「マイケル」を感じてるっていう。

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脳がマイケルだから電話だってかけちゃう。

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うっかり感情移入しちゃって、はらはらしちゃって。

タミーちゃんともう1人の幼なじみが警察やマッドサイエンスティストの手からこの外見恐竜中身マイケルを必死で守ろうとするなかなかの友情物語でもあるっていうこのカオスぶり。

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 お外のシーンでは山火事の煙が立ち込めてたりするので常になんとなくもややーん。

 しかもオチがなんというか、とんでもない悪趣味極まりないオチなんだけれど、ハッピーエンドに一瞬感じてしまうっていう。よかった!と思ってすぐに、いやでもやっぱり違うだろうというオロオロ感が。もう終わってる感じしかないんだけれど、いやでもどうなんだ。わかんない。男の人的には案外OKなのかな?

 いや、いくらなんでもねぇ。脳だけであとは直接撮影カメラをつないだ状態で生きることになりますが、毎日のように可愛いタミーちゃんがセクスィーダンスを踊ってくれるようですが..??いやでもこの先心変わりされたらどうなるんだとか。

 てか、あの雑な状態でいつまで......って、恐竜ロボットありきで突貫でつくった映画なんだからもう深く考えてもしょうがないというか考えるな、自分!

 

 タミーを演じていたデニース・リチャーズさんがとにかくめちゃくちゃ可愛かった。もう必死だし健気だし。

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 で、彼女に恋したがために不良集団にボコられた挙句脳を恐竜に移植されちゃう気の毒なマイケルくんがポール・ウォーカーさんですよ。16歳。

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これが驚愕の可愛さだ。

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 大抵の悪さは笑ったら許されたっていうのもわかる!!!

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 なにこの尋常じゃない可愛さは...

 スクリーンでこの可愛さなら実際はもっとだろ。

 デニースさんとポール・ウォーカーさんのツーショットのキラキラ感と罪のなさぶりがなんかもうハンパない。

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 何か見てはいけないものを見てしまったような気分で意味なくおろおろしてしまった。

 兄さん、この✨キラキラ✨ルックスで喧嘩上等負け知らずの強さって、少女マンガかなんかのキャラですか?もはや喧嘩売った相手にほんのり同情を覚えてしまうわ。

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 女の子によく間違えられたってそりゃね、もうね。

 だろうね。

 身体能力も高い高い。

 17歳という若さからすれば当然かもしれませんが、ビリーと喧嘩するシーンで武術で鍛えてますって身のこなしをしていました。殴り飛ばされても受け身もしっかりとってたし。全身バネな感じの動きがすごい。もうこの頃から格闘スタント大好きですよ。

 

ビリー役を演じたジョージ・ピルグリム氏が特典についていたインタビューでそのあたりのことを語ってくれてました。

 レスリングの技やろうと言い出したのはポールさん。

 監督、面白がってOK。

 ピルグリム氏は高校レスリングの選手だったので「そんなこといってお前できんのかよー?大丈夫かよー。怪我したらやばいしそんなのスタントダブルさんにやってもらえばいいじゃんかよー」と思ったら、もう強い強い。撮影なのにもう本気の技の掛け合いモードに(タイリースが”こと格闘スタントとなるとポールは自分で止めるということを知らない”とぼやいていたのを思い出しましたとも)。

 2階の窓から壁つたって下に飛び降りたり、ビリーと仲間達が車に乗って追いかけてくるのを全力で走って逃げて、走る車からバットで殴られるのも全部自分たちでこなしたとか。

 しかも車に追いかけられて全力疾走からのバットで殴られるシーンはリテイクになってしまい、深夜に疲労困憊しながらもまた全力疾走。

 緊張と疲労でピルグリム氏が力の加減がうまくできず、結構強く殴ってしまったあともポールさん「ぜんぜん平気平気」とカラッと笑顔で。

 その後、黒豹との近接シーンやライオンに追いかけるシーンなどもちゃんとこなしたとか。さすがにライオンに襲われるシーンはスタントダブルさんが担当したそうですが(しかもそのスタントさん大怪我して病院に運ばれたらしいですが...)。  

 デニース・リチャーズさんのインタビューもはいっていましたが、はじめてのことだらけでとても緊張していたら、「大丈夫!きっとうまくいくから」とポールさんがはげましてくれてとても安心して取り組むことができたとか。他にも暴行シーンの一員を演じていた女優さんも当時そのシーンを撮影することにとても緊張していたらポールさんが「心配しなくてもうまくいくって」と笑ってリラックスさせてくれたとか。

 なんというか現場での姿勢が昔からなんにも変わってないというか。

 のちになってピルグリム氏、パラマウントに勤めている奥さんのところを訪ねていった時に食堂で娘さんと一緒に食事しているポール・ウォーカーさんと遭遇する機会があったとか。

 ピルグリム氏を見つけたポール・ウォーカーさん、座っている席から「Hey, Bro!!!」と大声で声をかけてきてニコニコと手を振ってきたとか。

 で、ピルグリム氏の奥さんが「え?どうしてポール・ウォーカーがあなたのこと知ってるの???」って驚かれてすごく嬉しかったと。「ポール・ウォーカーと知り合いなんだ!」と思いっきり自慢したそうで。

一緒に過ごした時間は短かったとはいえ大変な撮影をくぐり抜けた同志としての絆がしっかりと二人の間ではできあがっていたそうな。

 

 監督のコメンタリーもついていて、ポール・ウォーカーさんが自分からいろんなアイデアを出してきたことなど懐かしそうに語ってくれました。

 慌ただしくとも活気のある現場だったようで、俳優さんたちもいろいろアイデアを出し合ったりして「本当にみんなよくやってくれたんだ」と。  

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↑この一連のシーンでのコメンタリーに入っている監督の大笑いっぷりがすごい。

  

 それからポールさんの演技についてすごく興味深いことを監督が!

 サファリパークに置き去りにされて意識を取り戻したポールさんが猛獣の存在に気がつくまでの一連の表情の変化をみて「ほら、この時の彼はとても表情豊かだろう?あとになって出演していた映画とだいぶ違って、この時は全然難しく考えてなかったからね」

 そう!

 この映画のポールさん、すごくのびのびとしているんですよ。  

 表情もくるくるとよく動く動く。

 役柄が自分と等身大なのでキャラの感情を理解しやすかったのかもしれないし、あと一週間しかない撮影期間の慌ただしさがすごくよかったのかもしれないし。  

 演技をすることに対する苦手意識はこの頃は特にというか全然なかったんだろうなぁと。苦手意識をもつほど深刻に俳優業を捉えていなかったのが逆によかったって、なんという皮肉。この頃も全力投入ぶりはまったく一緒なんですよ。中途半端にやるという概念がないんじゃないかっていう。まわりの俳優さんたちもこのエネルギーにいい意味で感化されたんだろうなって。

 

 この映画についてポールさんが語っているのを見つけられたのはほんの少しだけ。「ハーブ吸ってる時とかに”一億円以下で映画作る予定なんだけどちょっとでてみないかい?”って感じで近づいてくる連中がいて、こっちも”いいよ。出るよ”って軽い感じで。そんな感じで出た映画がいくつかあるんだけど、これもその一つ」と。

 ああ、このブルーレイでポールさん当人から裏話いっぱい聞きたかったなぁ。ライオンとかヒョウとのシーンの撮影の時の心境とか。山火事接近するなかでの撮影はどうだったのかとか。ピルグリム氏との格闘シーンの話とか。絶対にトンデモ面白い話きけただろうに。

 

 この頃の経験がおそらくは後の「やる気も熱意もない連中と仕事をするのはまっぴら」とか「友達のようでありながら実は本当の友達じゃなかった」とか「肉食ザメの中を長い間泳いできたからちょっと話したら”いい人間”か”悪い人間”かすぐにわかる勘みたいなものがあって、ほとんど外さない」とかいう発言の元になっているんだろうなぁとは思うんですが。子役でチヤホヤされて自分も自分がかっこいいんだと勘違いしてバカなことをしたという反省とか、ハリウッドに対しての警戒感がMAXとなりショウビズで再び戻らないといけなくなった際、信頼できる幼なじみの仲間に「おれがおかしくなったらちゃんと言ってくれよ!」とお願いしたりしたという。  

 実はこの映画を見ればその「やる気も熱意もない感じ」というのがわかるかなぁと思っていたりもしたんですが、真逆だったっていう。

 コメンタリーとかきいているとこの映画自体はみなさんやる気も熱意も溢れまくっていた感じだし、だいぶ後になってからもピルグリム氏に懐いている感じから、ポールさんが警戒感を抱くようになった業界の”何か”とはちょっと違うケースなのかもしれないなと思いつつ ( というか、ポールさん、この映画に関しては100%面白がってたと思うんだけどな)。

 スチュワート・ラフィル監督の話だと、”税金対策とかで締め切りギリギリになって発注がくる映画”というのが山ほどあるらしく、監督などはむしろその方が自由にやりたい放題できるので、あえてそういう映画のリストの中から引き受ける作品を決めるとかっていっていたので、ポール兄さんもさんざんな目にあわされた割に結局は完成しなかったようなとんでもない現場やそろいもそろってやる気無しな現場っていうのを経験してうんざりしたのかもしれない。

 当時俳優業はあくまでも「職業訓練」的なものであり腰掛け的にしかとらえてなかったポールさんからしてみれば、そういうところで場数をふんで人脈つないでいつかチャンスにつなげるという気持ちも全然なかったというか、そもそも必要なかったわけだし。

 2歳の時からCMモデルとして働きだして、10歳になる頃には子役俳優としてのお仕事もはいってくるようになっていたけれど、15,6歳になるぐらいまで仕事は完全にやめていたとか。17歳頃から映画やドラマに再び出るようになり、学校に通いながらの俳優活動。そして、高校卒業後と同時にショウビズを引退。  

 ポール・ウォーカーさんの予定ではこの後コミュニティー大学で海洋生物学を学んで、海洋生物学者か海関係のガイドになるはずだったんですが...。

 ここから再び俳優活動を再開することになるまでに約2〜3年ほど。

 23歳には「カラー・オブ・ハート( Preasantvill)」がきまり、「Meet the Deedle」や「シーズ・オール・ザット (She's all that)」、「バーシティ・ブルース (Virsity Blues)」にもとんとんとキャスティングが決まる。撮影中に運命的な出会いを果たし、娘さんを授かり、「ワイルド・スピード (The Fast and The Furious)」の話が浮上してくるまで、こうしてみると本当にあっという間。

 ただ兄さんはこうして入っていくる仕事を"自分が頑張ったから"とかではなく、単に”見た目”というだけではいってくるのがあまりにも安易すぎてそこが辛かったみたいで。でもエージェントさんがどんどんとってくるから。自分の気持ちを話しても「嫌な仕事もこなしていかないと、そのうちオファーがこなくなるぞ」となかなか理解してもらえず。だったら「オファーがこなくなればいい」と思って、オーディションやミーティングをすっぽかしたり、エージェントさんから行方をくらませるという実力行使にでたとか。

 そのあたりの心情をはじめて見抜いてくれたのが「ノエル (Noel)」の監督チャズ・バルミンテリだったみたいで、兄さんはチャズ・バルミンテリ監督に言ってもらったことをすごく大切に受けとめて、それから以降、迷ったときはいつも監督の言葉を指針にしていたらしい。

 

 だいぶ、話がそれましたがな。

 

 あ、もう一つスチュワート・ラフィル監督のコメンタリーからの小ネタ。

 ポールさんが出演していた「イン・トゥ・ザ・ブルー(Into the Blue)」がバハマで撮影されていた同時期に同じ場所で違う映画を撮っていたらしいんですが「あんなに小さな島なのに残念ながらその時彼とは会えなかったんだけどね」ということだったらしいんですが、たぶん、その頃、ポールさんたち海の中に潜りまくって撮影されてたんで、遭遇できなかったんじゃないでしょうかね。もう日がな日がな沖にでては海に潜って撮影していたっていうんで、陸の上で姿を見かけることはできなかったんじゃないでしょうかね。下手すれば海面上でも見かけるのは難しかったかも。だって、みんな、潜ってましたから。

 あと、「Into The Blue」の監督ロバート・ロドリゲスがコメンタリーで「僕らがくるちょっと前にここで映画の撮影があったらしくって、ちょっとみんな映画疲れしている感じだった」って言っておりましたが、それって監督?

 島のみなさんを映画の撮影疲れさせたのって監督のことだったの??

 この時、スチュワート・ラフィル監督が撮影していた映画って...該当しそうなのは「Survival Island」か「Bad Girl Island」。時期的には2005年に公開されている「Survival Island」かなって気がするけれど....ついでに2007年に公開された「Bad Girl Island」の分も撮影した??せっかくの海外ロケの機会だもの。監督が2本分撮影してても全然おどろかないよ、むしろそうじゃなかったっていう方が驚きかも。うん。

 

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 100%

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