いや、「ポール・ウォーカーの足跡:「ワイルド・スピード」に関する Wild Guess - あれ? ヴィン兄さんもそこにいたんですね??」に追記で付け加えるつもりでしたが書いているうちに長くなってしまったので...。
また憶測を飛ばしまくっていますが、タイリース・ギブソンとジョダーナ・ブリュースターが出演しているジャスティン・リン監督作品「アナポリス 青春の誓い (Annapolis)」を見た後、コメンタリー聴いたり、そのあたりのインタビューを読んでいて思うことが色々あったわけなんです。最近のドラマとか見ていると"Diversity"化は極々当たり前のように進んでいるので、それまでがいかに大変だったかということを私、全然わかっていなかったんだなぁとあらためて。
このインタビューは辛くなるんでずっと見るのを飛ばしていたんですが。でも見たら、 ここで、ヴィン・ディーゼルがポール・ウォーカーとの一番最初の出会いについて語っていて。
ああもう、これを最初に見ておけば「この二人って???」と苦労して掘り起こしていろいろとインタビュー記事読みまくる必要もなかったのに....とどれほど思ったことか。でもまぁ...読み漁ったあとだからこそ腑に落ちることができたのかもしれませんし。
あと、ストリート・レースで逃げた時のことも語ってくれていました。
一番最初にヴィン兄さんがポール・ウォーカーと会ったのは1回目の”本読み”の時だったそうです。15人ぐらいで読み合わせしたらしいですが、一番最初は惨憺たるものだったそうです。本読みの時、ポール・ウォーカーがセリフを読んで、どうもそのセリフが好きじゃなかったようで「このセリフ好きじゃなかった。なんかこのセリフよくわからなかったんだけど...」とシナリオライターに尋ね、シナリオライターがなにやら説明をして、それを聞いてたポール・ウォーカーさん、ヴィン兄さんの方を見て、「ヴィンはどう思う?」と尋ねてきたそうな。そこから二人のパートナーシップははじまったとか。
確かにこれにはヴィン・ディーゼル、面食らったのかもしれませんね。だって主役をはっている男優がよもやいきなり自分に意見を求めてくるというのはヴィン兄さん想定外だったんじゃないでしょうか。ヴィン兄さんが密かに"W主役だとーふざけんな”とか"結局白人が主役かよー”と気負っていて、”さぁお手並み拝見してやろうじゃないか”的目線でポール・ウォーカーさんを見ていたとして、一方、ポール・ウォーカーさんにとっては、主役なんか自分に務まるのかとガチガチに緊張していたところプロデューサーのニール・モリッツが「責任を分担して背負ってくれる頼れる共演者を探してきたから大丈夫」と安心させた、その”頼れる共演者”がヴィン・ディーゼルですよ!あのつぶらな瞳で無邪気に信頼を寄せられた日にはヴィン兄さんもそりゃ普通に兄貴モードにスイッチはいっちゃいますよ。
私、てっきりりドミニク・トレット叙事詩構想はヴィン・ディーゼル1人の産物と思い込んでいましたが、この日を境にみんなで色々と意見を出し合うようになったんでしょうね。きっとミシェル・ロドリゲスが言ってた「レティがほいほいとブライアンになびくのはおかしい」というのを主張してヴィン・ディーゼルが味方になってくれたというのも、この流れなんじゃないかと。みんなで意見を出し合って作品をつくれる空気を一番最初にポール・ウォーカーさんが作ったんだなぁと。でもそうすると、一作目のメンバー全員がとんでもなく仲がいいというのがすごくわかる感じが。
だってこの映画が2000年に撮影されたことを思えば、人種の多様性を貫くのって今よりももっともっと大変なはずですよね。加えて現場もやっぱり男性優位だったかもしれない。女性の描き方についてもミシェル・ロドリゲスとジョダーナ・ブリュースターはこの現場では撮影中でもとても意見を言えて、そしてヴィン・ディーゼルやポール・ウォーカーがもれなくサポートしてくれたんじゃないでしょうか。
こうして元あったシナリオから自分たちの意見をいれることでだんだんとキャラクターの色彩が豊かになっていき、ヴィン・ディーゼルはこれはシリーズものにできるというポテンシャルを感じたのではないかと。何かのインタビューで1作目で「トリロジー」にできると考えていたと言っていたと思うので。ただ、このメンバーである必要があったと思うんです。
ところが2作目のシナリオはおそらくドムとブライアンしか継続して出ていなかったんじゃないでしょうか。時間をかければそういったシナリオを書くことも可能だったのではないかと思いますが、スタジオ側としてはブームに乗りたい気持ちの方が強かった。
舞台はマイアミということで、ヒロインももしや白人の設定だったのかもしれません。この時点では契約に縛られているのはポール・ウォーカーさんだけなので、彼はでないわけにはいかなかったし。
スタジオ側と交渉しきれなかったニール・モリッツがせめてみせた抵抗がジョン・シングルトン監督という選択だったのかもと思えてきました。
ジョン・シングルトン監督とタイリース・ギブソンは少しでも黒人の活躍の場を増やそうと精力的に動いている人たちです。 ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルらの気持ちを思いやって、ニール・モリッツがせめてできたことだったんじゃないかと。(私、恥ずかしながらポール・ウォーカーさんとじゃれてるタイリースしかほとんど知らなくて、「アナポリス 青春の誓い (Annapolis)」のインタビューを見て、この人のシャープさを知って衝撃を受けたというか)
「ワイルド・スピード X2」のメイキングでニール・モリッツが「ポールはすごくいい若者なんだ。この先彼と何本も映画を一緒につくっていきたいよ」と言っていた言葉の裏にはいろいろあったのかもしれない。
考えすぎかもしれないけれど、でも、その経緯ならジャスティン・リンが「ワイルド・スピード」の3作目の監督を引き受けるかどうか悩んでいた時、タイリースが話したことというのはそういうことだったのかもしれない。ニール・モリッツやポール・ウォーカーなら一緒に戦ってくれるし信用できるというそういう話だった方が「おれたち仲めちゃくちゃいいんだぜー」という話よりもジャスティンを動かす感じになりそうですよね。
(「ワイルド・スピード/スーパーコンボ (Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw)」でニール・モリッツが解雇されたというのも、何か戦ってくれたせいかもしれない。
ええっと、そうそう、リサーチでストリート・レースを見に行った時の話をいたしましょう。
ストリート・レースを見に行って警察の手入れがはいってヘリコプターまで飛んできたのをみてヴィン・ディーゼルが「NYではヘリコプターなんか飛んでこないぞ」と焦ったら、「LAではしょっちゅうだよ」と二人で道路を走って逃げたというのはもう本当に映画のシーンそのものですよね。そこで迎えにきれくれたコーディネーターって、実際にストリート・レースをやられている方ですね。トヨタの改造車で二人を拾ってくれてって。じゃあ、コーエン監督とは別行動だったのかと。
撮影ではなく現実に二人でヘリコプターから道路を走って逃げた体験はヴィン・ディーゼルには強烈な体験だったんだろうなと。間違いなくポール・ウォーカーさんは車に乗ってから大笑いしていそうだし。
あ、やばい。なんだか辛くなってきた...
このインタビューにはドゥエイン・ジョンソンのインタビューもはいっていて、やはりこの方もポール・ウォーカーさんとは思いがけず腹を割りあった仲になっていたんだろうぁと声のつまらせ方から察せられてみたり。
娘さんのことを親身になってきいてくれたのも間違いなくポール・ウォーカーさんだろうし。ハワイというのも二人にとっては特別な場所なので...だから....(クリス・モーガンへの怒りがふつふつと。タイリースもインタビューでロック兄さん個人に怒っていたんじゃなくてそれをとりまく状況に怒っていたということを言っています。そりゃクリス・モーガンだけが悪いわけではないかもしれないけれど...「だってビジネスだし..」とインタビューで言ってるあたり加担した自覚はあるんだと思うんだなぁ)
かなり暗くなってしまったので明るい話も。
「ワイルド・スピード Tokyo Drift」のキャラがルーカス・ブラックが演じたキャラだけでなく戻ってくるようですよ!
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えーっと、じゃあこの人もシリーズのどこかに出てたのか....お、思い出せん....
と思ったのは私だけではなかったようで...
こちらのジェイソン・トビンさん。
「ジャスティン・リン監督がワイルド・スピード9作目にアールを復活させるらしいぞ!」って言ったらみんなから「アールって誰やねん?」と総ツッコミが😅
奥さんも同じリアクションだったらしく
「アールって誰よ?」
「"ワイスピのTokyo Driftに出てたキャラだよ」
「だからTokyo Driftの誰?」
「だからオレだよー!」
「って、あなたTokyo Driftに出てたのー?」
な感じだったとか。
おちゃめすぎて笑ってしまいました。
さらにジェイソン・トビンさん、次の投稿でサン・カンとの出会いも語ってくれました。
二人はUSCの映画学科の生徒だったんですが、はじめてサン・カンと顔を合わせた時は「なんだコイツ」というぐらいの印象だったんですって。それから1年後、インディペンデントの映画にキャスティングされてNYで監督の家で合宿することになったんですって。その時もサン・カンと一緒で、そこからはめちゃくちゃウマがあったんですって。ところが残念ながらこの映画は60%撮影したところで完成にまではいたれず解散するしかなかったそうです。せっかく「アジア系が主人公でカッコイイ映画つくろうぜ!」というみんなの目論見は崩れ去ったかに見えたんですが、この監督は諦めなかったんですね。LAにもどったみんなに再び招集をかけて撮影したのが「Better Luck Tomorrow」だったんですって!ええ、この監督ってジャスティン・リン監督なんですよ。そしてこの「Better Luck Tomorrow」でハンが誕生したんです。
「Better Luck Tomorrow」も見なければ!
でもその前に「ワイルド・スピード Tokyo Drift」の復習をせねばですね。
にしても、まさか、「ワイルド・スピード」にハマってここまで人種問題を思い知ることになるというか学ぶことになろうとは...(ぼーぜん)