So Be It

見た映画やドラマでFilmarksにない作品の感想と覚書。時にネタバレを含んでいますのでご注意ください。

#JusticeForHanについて考える

 邦題は「ワイルド・スピード/ ジェットブレイク」だそうで。

 「JETBREAK」というのは「ICE BREAK」つながりですって。

 

 ふーん...

  え? 

 つながりって何??? 

 

 

俄かファンである立場をわきまえてこれ以上何も言うまいて...

 

 ま、別にどうでもいいんです邦題なんて。

 

タイトルの話なんですが「Furious 6」の時だったと思うんですが、ジャスティン・リン監督にとっては”宣伝する時にややこしいので公には「Fast & Furious 6」となっていたけれど、ぼくの中では「Furious 6」”とインタビューで言っていたと記憶するんですね。

 で、今回ジャスティン監督の心にあるタイトルはどうなのかなぁとちょっと好奇心をくすぐられています。

 ジャスティンが10の脚本を書き始めたーとタイリースがインスタにアップした時「Fast 10」と言っていたので、彼らの中ではFast 9,Fast 10なのかなぁと思ったり、まぁ、単にFast & Furious 9とか10とか全部言うのが面倒臭いからそういう呼び方なのかもしれません。タイリースのタグを見ると#Fast9 になっていますが、まぁ、真相はジャスティンが話してくれるまではわかりません。ジャスティンのコメンタリーを聴くのが今から楽しみです。

 もっと着目すべきはサブタイトルの「 the Fast Saga」かもしれません。

 Sagaとくればヴィン・ディーゼルが約20年前に思い描いたドミニク・トレットー叙事詩。

 でも「The Toretto Saga」でも「The Furious Saga」でもなく「The Fast Saga」

 "The Fast"ってところにみんなのポール・ウォーカーへの想いがつまっている感じがするというのは言い過ぎかな?自分たちのことを”Fast Family”って言ってるから込みでって感じかな。これまで関わってきた人たち全員をひっくるめてという感じでしょうかね。

 

タイトルで見ていくと、

4作目の「Fast & Furious」はドミニクとブライアンのreunionの物語ですよね。

5作目は「Fast Faive」はブライアンが父親になる。

6作目は  「Furious 6」はドミニクが最愛の女性を取り戻す。

 

 ブライアンもドミニクもそれぞれ自分が属する場所に辿り着けたというところで、ジャスティンの中では一旦キリがついているわけです。

 

  とここまで書いたところで、ジャスティンのインタビュー記事を見つけました。

  2年前にジャスティンの中でアイデアが浮かんだということなので、2018年、というよりは2017年かな?

  2017年10月に戻ってくるということがアナウンスされているので。

 

  ....そうか。

 IMbdのデータと照らし合わせると事情がなんだか見えてきた。

 

 クリス・モーガン...お前か💢

 

 こいつが元凶だと確信する。

 こいつがジェイムズ・ワン監督が離脱したところで、既に勘違いしだしたというか逸脱しはじめたんだと思う。スタジオ側からとか誰かからホブスとデッカードの出番を増やせと言われればこれまでの積み重ねや思いを深く考えもぜずにほいほいとやらかす。

 そのおかげでヴィン・ディーゼルが頑なにこだわり続けてきた"何か"が崩れつつあったんだ。ヴィン・ディーゼルは具体的なストーリーは作れないけれど、そういったシークエンスのコアに関する直感は優れている。少なくともこのシリーズにかけては。

 このままではダメだと強烈に感じたに違いない。

 自分の意図を汲んで一緒に戦ってくれる味方が必要だと切実に感じたんだと思う。このままだとブライアンの扱いだってどうなるかしれたものじゃない。

 

 インタビューによるとジャスティン・リン監督は「Furious 7」と「Fate of Furious」をそれまで見ていなかったらしいんですね。

 2017年4月27日〜5月4日に開催されたLos Angeles Asian Pacific Film Festivalのオープニングナイト(4月26日もしくは27日)に「Better Luck Tomorrow」が上映され、舞台に登場したジャスティン・リンとサン・カンへのQ&Aが行われた時にファンから"Justice For Han"なる話題が持ち出されたようです。

「Ice break (Fate of Furious)」の上映が2017年4月4日からだったので、それを見て「ハンを殺したヤツがどうして!」と理不尽におもったファンが直訴したのでしょう(ありがとう、その話を持ち出してくれたファンの方!!)。

 おそらくそのイベントの前から戻ってきてほしいという打診はあったのではないかと思うんですよね。

 ただジェイムズ・ワン監督が新しく紡ぎはじめた物語にまた自分が首をつっこむのは筋が違うとジャスティンは思っていただろうと思うんですね。あとは、やはり自分の中ではあのキャラクターたちの物語が描き切ったという想いが強かっただろうと思んです。

 でも、「ハンをないがしろにされた」というのは「Tokyo Drift」を引き受けるかどうか悩んでいた時の気持ちを思い出したりしたのかもしれないですよね。

 当時「アジア系の扱いが不当」なシナリオだったから断ろうとしていたジャスティン。それをタイリースが背中を押してくれて引き受けた。そして作品を通して大きな家族ができた。

 その家族がいま危機に瀕している。

 それまでにもヴィン・ディーゼルといろいろ話していただろうと思うのですが、何よりもファンがそういう印象を持ってしまっているということはもう見過ごせないと感じたのかもしれません。

 ルーツは違えど家族となり居場所を見つけた、みんなでようやくこぎつけたジャスティンなりのゴール。

 あの思い出のバーベキューシーンを汚された気分がしたのかもしれません。

 あのバーベキューシーンを撮り終えたあと、スケジュールがキツすぎてあまり思うようにいかなかったと落ち込んでいたジャスティンを「おつかれさま。ありがとう」とハグしてくれたポール・ウォーカーのことを大切な思い出の一つとして挙げていたジャスティン。

サン・カンがロンドンでポールが探してきてくれたお店で一緒に感謝祭ディナーをしたことを大切な思い出としてあげていたことを思えば、「ワイルド・スピード ICE BREAK (Fate of Furious)」のバーベキューシーンに引っかかりを覚えるのもわかる感じで。なんというかバーベキュー のシーンは彼らの中でかなり神聖なるもの的位置づけになっているところあることを思えば、ね。

 

 

 あとジャスティンが「F9」にハンを登場させたのは、なんとなく”ブライアンが登場するかもしないかも”ということばかりが取り沙汰されていたことへの強烈なアンサーだったような気もします。

 どう願っても呼び戻せない存在がある。

 ハン(当人かどうかはまだ明らかになっていませんが)を戻すことで、余計に浮き彫りになる”存在”。

 軽々しく扱われてたまるものかと思ったのかもしれないし...。

 ついにサーガの仕上げに入るわけで、それなら最初にこの旅をはじめたメンバーでサーガを完成させたいという思いもあったかもしれないし。

 血のつながりを語ることはルーツを語ることで、お互いのルーツを認め合ってこその多様性。

 ”Justice For Han"を叫び出したファンの中にアジア系をないがしろにされたという悔しさみたいなものもあるのなら、これをきちんと昇華させないとこのシリーズの意味がないとジャスティンは思ったのかもしれない。その意味というのはおそらくはポール・ウォーカーという人が象徴していた何か。

 このシリーズは家族の物語ではあるけれども、家族は強い絆を生むけれど相克も憎しみも生む。

 それら全てをひっくるめてもなおかつ”調和”に至ることはできるのか。

 それをポール・ウォーカーが極々自然に可能にしてみせていたのを目の当たりにしていたジャスティン。調和に至れることをしっかり描きたいと思ったのかなとも思ったけれども、どうかな。

 それは見てみるまでわからないし、余計な憶測はできるだけしないで本編を見るに越したことはないのだけれど。

 でもなんとなく彼らの中では"Justice For Han"は”For Paul"でもあるような。

 まぁその辺はそうあって欲しいというワタシの願望にすぎないのかもしれないけれど。

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しかし、ここまでハンの生き返りネタで遊んでいてまさか本編復活とは!

 

このシリーズとっても面白いのです。

miyelo.hatenablog.jp

 

参考記事

Fast & Furious 9 director Justin Lin breaks down Han's return, John Cena twist 

Sung Kang on his ‘emotional’ ‘Fast & Furious 9’ return and Justice for Han 

The Los Angeles Asian Pacific Film Festival is Set to Bring an Array of Asian and Asian Pacific American Films Celebrating 33 Years