人類の4%は超能力を持って生まれてくる世界。
超能力者は建築など超能力を活かした仕事についていたがやがて産業革命によって能力者たちが請け負っていた仕事は機械にとって代わられる。しかし超能力を持つがゆえに普通に就職することは難しく、さらに厳しく監視されている。
電気を操る超能力を持つコナーは母親と二人暮し。スーパーで働く母親の収入とコナーが日雇いで建築現場で働いて得た収入で細々と暮らしていた。コナーは必死に就職活動を続けているがなかなか面接を突破することができない。
母親はものを凍らせることのできる超能力を持っているが病気のせいで力を制御できなくなりつつある。母親に病院の治療を受けさせたいコナーだが、高額な医療費を払うお金がない。
そんな時、コナーは電気を操る能力の持ち主を捜していたギャレットに雇われる。ギャレットはこの街をしきる麻薬組織のボスの元で働く超能力者で、売上金の回収や盗みを働いていた。コナーは躊躇いながらも母親の入院費を稼ぐために仲間になる。
ある若者がマイノリティーであることから就職が困難で貧困から抜け出せず、ある時から止むに止まれず犯罪組織の仲間となり...という流れはとても定番で、そこに超能力を加味したからといって驚きの展開が待っているわけではないのだが、超能力者がたくさん出てくるにもかかわらず、あくまでも日常に即しているというか、生活臭が失われないままに進行していくおかげか特殊設定にそう煩わされることなく映画の中に入り込みやすい。
この世界でいうドラッグとは超能力者の髄液であり、今回の映画ではその点については精製法といかにお金になるかということだけしか触れられていないが、このドラッグをつくるために大勢の能力者がただ髄液を抜き取るためだけに集められ死ねば廃棄というこの設定も今後なにか続きがあるのならなんらかのドラマが起こりそうな設定だ。
今回はコナーの成長物語に集中し大きく外れることはなかったが、ドラマでいうパイロット版のような趣もあり、この世界で起こることをもう少し見てみたいという気にさせられた。 能力者相手でも公正な捜査にアレックス・パーク警官の設定も興味深い。彼には幼い娘がいるのだが、超能力者でそのせいで学校でいじめられたり、親に施設おくりにされるのではないかと心配している。しかしアレックスは超能力者の娘を持つからこそ、超能力者相手でも他の警官と違って公正に接することができるし、容赦なく取り締まり射殺する警察のやり方に疑問を持ってもいる。
もしもシリーズ化されるなら彼のキャラも面白いドラマが見られそうだ。
ステファン・アメル、ロビー・アメルの共演も見ものだが、やはりサン・カンの存在がいい。 アレックス・パーク警官を演じていたのがこの人なのだけど、この人の持つ独特の雰囲気がこの世界観に現実味を持たせるのに一役買っていたような気がする。
まぁ、正直に言えばこの映画を見ている間、「オリバー!!」「ハンー!!」と頭の中ではアローバースとワイスピバースのとんだクロスオーバーが私の頭の中では展開していたのでどこまで色眼鏡をかけずにこの作品を冷静に判断できているか微妙なところ。でも思っていたよりもずっと面白かったことは確か。
予告編がこちら!
元々はこのショートフィルムからのスタート
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 78%