So Be It

見た映画の感想。ネタバレを含んでいますのでご注意ください。

ポール・ウォーカーの足跡: マネージャー泣かせなクライアントでも大親友

ボビーZ ( The Death and Life of Bobby Z )」にポール・ウォーカーが出演していることに気がついたのはワイルド・スピードシリーズを全作攻略しようとIMdbを眺めていた時のことだ。アマプラで一度見たことあるが内容はほとんど覚えていなかった。

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ボビーZ (字幕版)

ボビーZ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

  ”ゆるーく軽ーく楽しめてよかった。”と、当時の感想に書いている。

 てか、それだけしか書いてない.....。

 この時は「ワイルド・スピード」も知らなければ、ポール・ウォーカーを見たからといってハマりもしていない。  

 一体どんな感じの役柄だったのか。とりあえず見直すことにした。  

 

 ああ、本当だ。

 ポール・ウォーカーだ。

 というか、これってめっちゃポール・ウォーカーじゃないか!!!(←?)。

 

 

・「ボビーZ」という映画

 映画自体は相変わらず一体何がしたいんだろうという散漫ぶり。

 その点での印象も評価も最初にみた時と何もかわらないが、いくつか気がついた点がある。

 まずアローのディグルが出ていたこと。前回は全然気がついていなかった...(←どうでもいいよ)。

 そして、ポール・ウォーカーの存在だ。

 前回は全然認識していなかった。  

 認識したからといって映画の散漫さが解消されるわけではないが、わたし的にはポール・ウォーカーの芝居っぷりを見ているだけで十分楽しい (このキャラがまたちょっとというかかなり変なんだな)。

 なんというかこのキャラクターのやることなすことが、かなりポール・ウォーカーに寄せてあることに気がついた。

 寄せたのか、だからこそキャスティングされたのかはわからないが。

   この映画でポール・ウォーカーが演じるのはティム・カーニーという元海兵隊の無期懲役犯。といっても、実は当人具体的に罪を犯したというわけでもない。

たまたま運悪く巻き込まれた。それだけだ。

それだけだが、3回有罪となり無期懲役となってしまった筋金入りの踏んだり蹴ったり災難野郎である。

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 無期懲役免罪を餌にFBIから容姿が似ているという理由で6年前にぷっつり行方をくらませた伝説の麻薬ブローカー、ボビーZになりすますように言われる。

 ボビーZはサーファーでもあり女たらし。

 ティムはボビーZになりすまし麻薬組織に捕まったFBI捜査官と交換でさしだされることになる。その後、メキシコのアジトにつれていかれるが、そこで出会った少年とアジトから逃げ出し、次々と追ってくる敵と戦いつつ少年と信頼関係を深めていくー感じの展開。

 で、まぁティムというのは海兵隊あがりなので戦闘スキルが非常に高い。

 サーファーな見た目優男でありながら戦闘能力高しという男...って、まんまポール・ウォーカーじゃないか。  

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よく知られていることなのか実は知られていないことなのか、もはや私にはよくわからないが、ポール・ウォーカーさんのお爺さんもお父さんも戦争にいっている。

というわけで、「こんな緊急事態になったらどうする?」的な思考訓練と実践手ほどき的なことを幼い頃から当たり前のように教わっていたらしい。

 爺ちゃんから射撃をおそわり、マーシャルアーツも子供の頃から。実は当人軍隊に入りたかったらしいのだがベトナム戦争で散々な経験をしたお父さんに「入隊なんて微塵でも考えでもしたら親子の縁を切るぞー!」と怒られ断念したとか。

 で、この映画でもムエタイとブラジリアン柔術をとりいれた格闘シーン満載。

 1日最低3時間はマーシャル・アーツの鍛錬やってるポール・ウォーカーの大得意分野。ただし細っそいので技かけてもマッチョな相手に持ち上げられちゃうという弱点が露呈するおちゃめぶりも。

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 アメフトの選手の役についたとき筋肉つけろといわれて、ジムに通っってマッチョになってみたこともあったらしいポール・ウォーカー。しかし、海に入ると身体が重くて思うようにサーフィンできないのですぐに余分な筋肉は落としたそうな。以来ジムには通わずマーシャル・アーツの鍛錬に打ち込むことで6packと細身ボディを自然に保っている。日々鍛えているおかげでアクション・スタントは現場に入れば準備期間がなくともすぐできるそうな。

 乗馬もすでに大好き。

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  車、バイクの運転スキルはもちろん言うまでもない。

 映画では出てこないがスカイダイビングもお手の物(娘さんが生まれてからは控えることにしたらしい)

 とにかく映画とは関係なく、びっくりするぐらいスキルフルなのである。

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追記(2020年1月28日)いろいろとインタビューを読んでいると自分は演技ができないという相当な苦手意識があるため、自分がキャスティングされる理由は若い頃は「顔」だと解釈していたが年齢が上になるにるれ、「もうそういう役に見合うほど格好よくはないはずだ」と考え「なぜキャスティングされたのか?」という理由を「車の運転」と「スタント」と解釈し、自ら進んでスタントを買って出るのかもしないと思ったり。「自分より実力のある俳優が仕事にあぶれているのになぜ自分にオファーがくるのか」ということを常に考え、悩んでいたというかよくわからず困惑していたのかなー?

※追記(2020年3月1日)今回限りでもう俳優は辞めるというのは口癖だったところがあったもよう。

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 この映画はもう当初から宣伝活動も最小限だったのだろとしか思えないくらいキャストや監督のインタビューもなにもかもほぼ皆無。  

 見つけられたのは撮影中にプロモーション用に撮影した約10分のメイキング+監督とキャストのインタビューのみ。その中にプロデューサーのマット・ルーバーのインタビューも入っている。この人がポール・ウォーカーのマネージャーでもあることがわかり、なんとなく腑に落ちた。この頃、マット・ルーバーは主演俳優としてポール・ウォーカーを売り出そうと奮闘しつつ、ポール自身の興味もひかねばならずという事情も見え隠れするようなしないような。

 というか、この映画、相当自分でスタントやっていると思うのだが、どうせならキャラクター云々の話よりもスタントどんだけやったかっていうことをフィーチャーしてプロモーションすればよかったのに...(といって映画の内容が改善されるわけでは全然ないけれど...)。

 劇中、ティムは足を怪我をしてそのまま長い逃走劇を続けるのだが、あれもリアルにスタントの撮影中に当人が怪我をしたのではないかと睨んでいる。

   全然余談だが「ボビーZ」で着た衣装を気に入ったのか、他の映画のインタビューでもよく着まわしている。もしくは私服だったのかもしれないが(←どうでもよすぎる話)

・ポール・ウォーカーとマット・ルーバー

 二人の付き合いは長い。

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 マット・ルーバーがマネージャーとしてFOX 2000から独立したとき、一番最初にクライアントとしてサインしたのがポール・ウォーカーだそうだ。その時オフィスも提供してくれたとかで仕事仲間ありつつ友人同士でもある二人。  

 マット・ルーバーによるとポールの最優先事項はいつでもはっきりしていて娘、家族、親友に何かあるときは何を差し置いてでもそちらを優先させる。

 例えば確実にキャリアを上にあげてくれるであろう役柄を得るか得られないかというときに監督と一度直接あってみるというところまでこぎつけたとしても、そのとき、自分の家族や親類に何かあれば迷わずそちらに飛んでいくし、その会合のために離れるということもしない。他にも仕事か友情かという選択なら迷わず友情をとるというようなところがあって、その頑固さに何度か口論になったこともあったらしい。

 マネージャーとしてはポールの決断に泣かされることも多々あったが、友人としてはワイルド・スピードシリーズであれほど騒がれたにも関わらずポールがそのようにいつまでも変わらずポールのままでいたことが嬉しくもあり誇らしく思っていることだそうだ。  

 ポール・ウォーカーは映画を作ることも演じることも好きではあったけれども、業界で成功することには興味はなく、むしろ業界の中でも目立たないでいることを望んでいたそうだ。一番苦手なのはプロモート活動で大勢のマスコミやファンの目にさらされることに相当なストレスを感じていたらしい。マット・ルーバー知らないところでボランティアやチャリティに参加しており、そのことがマット・ルーバーの知るところになった時は絶対記者を呼んだり、プロモ用の写真を撮るなと釘をさしていたらしい。

 

 ポール・ウォーカーがスーパーマン役のオファーを断ったという話は比較的よく記事に書かれていたりするが、このときビジネスで考えればマット・ルーバーとしてはギャラの大きく続編も期待できるこの話は絶対に逃したくなかったそうだ。しかし、スクリーニングテストのとき、「連中にマントとタイツ着せられてSの文字胸につけられてるんだ!早くここから連れ出してくれ」とポールから助けを求める電話がかかってきて迎えに行かざるを得なかったとか。

(・追記(12.27.2019): スーパーマン役のオーディションを受けることになってからポール・ウォーカーがだいぶ悩んでいたことが伺えるインタビューを見つけた。「タイムライン (Timeline)」の撮影現場で監督のリチャード・ドナーにスーパーマンの役を受けるべきかどうかアドバイスを求めていたらしい。監督は”自分がスーパーマンをやりたいならやればいいし、やりたくないと思わないならやらないでいいんだよ”と言ってくれたらしい。金銭状況がこの頃はまだ厳しかったのかな? ギャラがいいということで断ってもいいものかと相当悩んでいたっぽい感じ

 

  マット・ルーバーはポールが「ワイルド・スピード」の三作目にカメオ出演しなかった理由についてもあるインタビューで答えていた。

 「あの時はポールは彼の祖父の看病をしていて、そういう時の彼を映画のために呼び戻すことは絶対に不可能なんだ」

 私もこのあたりの理由のついて余計な憶測をしてしまっていたので深く反省。 

 インタビューなどを読んでいるとこのマット・ルーバーという存在がポール・ウォーカーという俳優を辛うじて業界につなぎとめていたのかもしれないとも思えてくる。

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 マネージャーとしてのマット・ルーバーがポール・ウォーカーに泣かされたというのはまだまだある。ホリデー休暇に入るついでに奥さんと一緒にポール・ウォーカーの様子を見に撮影現場を訪れたマット・ルーバー。すると「このプロダクション、予算が全然足りてないらしいんだ。おれのギャラぜんぶ返すことにしたから」と突然言い出すポール。「......は?」となったマット氏は休暇を返上してプロダクションのプロダクションに事情をききにいくはめになったこともあるとか。


 事故の直後にうけたインタビューで、「ポールは絶対に自分が乗る車を人に運転させることはなかった。わたしですら運転させてもらえなかった。ポールがもしも何かしらの事故で死ぬことがあるなら、誰かを助けるために火事になった建物に飛び込んでいくか鮫に襲われるとかならありえると思っていたけれど、まさかめったに座らない助手席に乗った車で事故にあったのは皮肉すぎる」とマット・ルーバー氏は語っている。