ポール・ウォーカーが出演しているワイルド・スピードシリーズで未見作品となる最後の一本。
見たら悲しくなるかもとちょっと間を置こうかとも思ったけれども最近の自分の記憶のたもてなさぶりを思えばすぐに見ておいたほうが良さそうと思い直した。
見てよかった。
ワイルド・スピードシリーズはある意味全てが冗談みたいな作品なんだけど、見ると絶対に面白いのがすごい。掴みからグッとその世界に引きずり込まれる。
まぁ、5本も見ていればさすがに登場人物への愛着も増してくるし、続き物なので当然といえば当然なのかもしれない。他の作品であれば“そのシークエンス結局関係なかったじゃん”と毒づいていたであろう脚本のアラもこのシリーズにおいてはそんなことはもうどうでもいい。本当に我ながらびっくりするぐらい気にならなくなっている。どうでもいいというか”何でもこい!”というオープンマインドというか。”ああ、あそこはそうこじつけましたか!やりましたね!さすがの力技!”とむしろ楽しくなってきてしまっている気がする。
アクションも回を追うごとに敵の規模が上がってくるせいでチーム・トレットが操る車がもたらす破壊力も笑っちゃうぐらいに前回を上回ってくるので、こちらも”いくらなんでもそれはない!そんなアホなー!!もうこんなん嘘やあーん!”的シーンに度肝ぬかれることが楽しみになってきている。
今回も本当に面白かった。
まずはブライアンとドミニクが爆走しているショットからはじまるのだが、「え?前回のレース、本気でやる?」と驚いたらミアちゃん出産の知らせに病院に向かうところだったっていう。
ブライアンとミア、ドミニクとエレナはスペインで悠々自適に暮らしていたけれども、ドミニクの元に人間コンボイFBI捜査官ホブスが協力を求めて尋ねてくる。
何十億もの価値を持つ最高機密兵器が元イギリス特殊部隊のショウという男が率いる強盗団に盗まれ、車を駆使した手口にショウに対抗できるのはドミニクだけだとホブスは判断したのだ。
ショウの一味にレティがいるとホブスからきいたドミニクはホブスに協力することに決める。ブライアンは父親となったのだからミアの側にいるようドミニクは諭そうとするが、レティの死に深く責任を感じていたブライアンはドミニクと一緒に行くと言って譲らない。ミアもレティは家族だし、ドミニクを一人で行かせるより二人でお互いを守り合ってくれたほうが安心とブライアンを連れて行くようにドミニクを説得する。
ドミニクはチームをイギリスに呼び寄せ、ホブスにショウを捕まえられたら全員に恩赦がもらえるよう条件をのませ、全員でショウとレティを探しにかかる。
かつてレティはドミニクを無罪放免にしてもらうことを条件に当時FBI捜査官だったブライアンの捜査を手伝ってブラガの麻薬組織に運び屋として潜入。しかしブラガは運び屋に使うドライバーを一回の仕事が終わるたびに始末しており、レティはその場は逃れたものの追っ手によって車を撃破される。
その時の追っ手がショウで、ショウはレティを始末する時に直接銃で撃たず車を爆破した。おかげでレティは生きのびたものの記憶を失っており、ショウはレティをチームに加えたらしい。
記憶を失っていても“らしさ”は全然失っていないレティ。ドミニクとレティというのはシリーズを通して見ていればわかる、もうお似合いもお似合いすぎる最強にかっこいい組み合わせなので、片方に記憶がなくとも昔の彼ららしい感じが繰り広げられてたまらない。
クライマックスでドミニクがレティめがけて空中を飛ぶところなんて、もはやメタヒューマンでもなければ無理だろという感じだが、もうこの二人だからありでいいのだ。チーム・トレットの絆の強さは物理法則を捻じ曲げることも可能にするのだ!
同じくチーム・トレットで、今回はハンとジゼルの仲もいい感じに描かれている。
前作ではハンがジゼルにグッとひかれていく感じだったけれど、その甲斐あってか二人は仕事でもいいパートナーぶりを発揮。ジゼルがとんでもなくカッコよくて、この二人のコンビネーションもかなり好きだったのに...。
「Sky Mission」から見たので、ハンがどうなるかは知っていたけれどあの時はハンのこと全然知らなくてなんの感情移入もなかったのでなんとも思わなかったけれど、順番に見てきた今となってはとんでもなくショックだっていう。ううぅ幸せになって欲しかったのに。
でも、キャラの死はもちろん辛いんだけど、本当の死というわけではないので...とこのシリーズはどうしてもついついそう考えてしまいがちになる。
ブライアンは命知らずなところがあって、必要とあらば危ないところへグイグイとためらいなくツッコンでいってしまうキャラなのだけれど、”ああもうブライアン、それ絶対無理やめてお願いやーめーてー!!!”な状況でも絶対にブライアンは諦めなくて、そして絶対絶命ってこちらが思わず目を背けたくなる危機的瞬間をスッと抜けきってしまう強運さがあって、そこがめちゃくちゃかっこいいのだけれど、同時にポール・ウォーカーを思ってしまって余計に切なくなってしまう。
もう本当に偶然でしかないってわかっているのだけれど。
今回の敵は改造フォーミュラカー(?)から戦車ついには軍用輸送機に及ぶんだけれど、車の最強ぶりたるや相変わらずで、”飛行機が墜落しそうな時でも車に乗ればなんとかなる”な感じでどんな状況下でもチーム・トレットが車のハンドルを握った時の安心感というか、こみあげてくる逆転勝利の予感感がすごくて我ながらこのシリーズにどんだけ洗脳されたんだろうっていう気になるけれど、このシリーズにおいて最速の車は神のごとき絶対的存在なのでしかたがない。
敵につかまろうが、爆弾をみつけようが、そのときにかっこいい車が側にあれば思わず全てを忘れて一瞬でも目を奪われてしまう、それくらいの車好きというか車愛でむすばれた家族チーム・トレット。
熱心な信者である彼らにあの世界の神たる車が微笑むのは当然だ。(←は?)
そしてホブス! そうこの人を忘れてはいけない。人間コンボイFBI捜査官ホブス。
この人は別に車好きではないのだが、この人自身がオプティマスプライムだから大丈夫なんだろう(←?)
しかしホブスが登場してからドミニクのマッチョ度合いが可愛らしいものにみえてしまって。確かにドミニクもありえないぐらい強靭だけれどホブスと比べれば人間っぽい。 今後このシリーズもどこまで車至上主義を貫けるものなのか。
ホブスが登場すると一挙にSF感増すというかなんというか...。
ついでにスキンヘッド・マッチョ割合もどんどん引き寄せているような...。
ラストはLAの元のお家にもどってきたチーム・トレット。
これがシリーズ最終回だったとしても十分通用しそうないい落としどころ。
このあとすぐにもう一度「ワイルド・スピード:Sky Mission (Furious 7)」を見た。どうしても見たくなってしまったのだ。
ブライアンがファミリーカーを真剣に運転しているのがどれだけとんでもないことなのかわかってもうほんとうにおかしかった。
あのスキルにしてこの車!
あと息子が車のおもちゃ投げて「Cars don' fly」とブライアンがたしなめていたのが伏線になっていたのかとここではじめて気がついて大笑いしてしまった。
息子よ、おとーさんは間違っていました。
最初にみた時と違って車愛は私もめちゃくちゃ高まっているので飛行機から降下するところも妙な安心感が。車がチーム・トレットを裏切るはずないんだー!みたいな絶対的安心感(おい)。 ようは二回目は二回目ではじめてみた時の倍ほど楽しかったわけなんです。
何度見ても面白いというか、定期的に発作的に見たくなってしまいそうな予感。
そしてブライアン。
あのビーチは「ワイルド・スピード:Mega Max (Fast Five)」で出てきたビーチとは違っていた。
やっぱり切なくて泣いてしまったけれど、今回は思いのほか清々しい気持ちで見終わることができた。
とても”らしい”見送り方でこの映画をお蔵入りにしてしまうことなく完成させ公開してくれたことに感謝。
Roman: bless our table. Father,
thank you for the gathering of friends.
Father, we give thanks for all the choices we've made,
because that's what makes us who we are.
Let us forever cherish the loved ones we've lost along the way.
Thank you for the little angel, the newest addition to our family.
Thank you for bringing Letty home.
And most of all, thank you for fast cars.
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 70%