ルビンの壺の使い方がうまいー。
人種、銃社会、警官の発砲、街の中産階級化などなど扱いに難しそうな社会問題が存分に盛り込まれているのだけれど、とても見やすくわかりやすい作品だったと思う。
見る前は、結構精神的ダメージを食らいそうだなぁと覚悟を決めての視聴だったけれども、意外に見終わった時の読後感というか視聴後感は爽やかなものだった。
コリンとマイルズのキャラと立場と関係性と“ルビンの壺”の使い方がとてもうまくて、実は問題点はそこではないのに、そこに昔ながらの固定観念が視線を逸らさせるという点と、表面化していなくともやはり根本にあるわだかまりはそう簡単には消せるものではないという点をうまく現していたなぁと。
時代の変化とともにうっかり忘れそうになるというか、既に過去のことで今は違うんだと思いがちなのだけど、それは希望的幻覚にしかすぎなくて、時間が経過したから、見えにくくなったからといって問題が消えたわけではないということも思い出させてくれる。
シークエンスの配置の仕方、利かせ方がいい具合だったおかげなのか笑いどころとズーンとくるところのバランスもよくて、上手いなぁと。ここから一転してシリアスモードになるのか?と予測して構えるこちらをいい具合に裏切ってくれたという印象。逆もしかり。これまでコミカルに挟んでいたものが、ある場面ではものすごく強烈なメッセージ性をおびる。ケールのスムージ、赤信号と青信号、ラップ。
元々がミュージック・ビデオの監督ということもあるのかもしれないけれど、たびたび挿入されるオークランドの街が昔とはかわっていく様子の表現のさりげない感じもうまいなぁと。
もしかしたら"うまいなぁ”と感じる余裕があるあたり、がつりと取り込まれるような泥臭い何かにはかけていたのかもしれないけれど、複雑な問題をこのようにソフトに再構築できる手腕はすごいなぁというか、この監督の他の作品も見てみたい気にさせられた。
自分の頭で物事を整理するのが苦手な私には、問題と向かい合う時の姿勢として、とてもいい指南書だったような気もする。
📝
- How's the memorizing coming?
- Yeah, just trying to learn these psych terms.
- What did you come up with for the double picture one?
- The face and the vase one? Oh, I like that one. It was "blindspotting."
-Why "blindspotting"?
-'Cause it's all about how you can look at something, and there can be another thing there that you aren't seeing. So you got a blind spot.
-But if somebody points out the other picture to you, doesn't that make it not a blind spot anymore?
-No, 'cause you can't go against what your brain wants to see first.
-Unless you spend the time to retrain your brain, which is hella hard, so you're always gonna be instinctually blind to the spot you weren't seeing.
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
🍅: 94%