ダーレクだ!ダーレクがでた!
1960年〜1970年代のイギリスを描くのにDoctor Whoは欠かせないということで。 本当にものすごい人気だったんだなぁと認識。
え? Doctor Whoを知らない?
それはそれはなんとまぁもったいないことを。
もとい。
こんなことを言うとアホかと蹴っ飛ばされそうですが、アイルランドとイギリスの事情をあんましというかほとんど知らなくて。北アイルランドがイギリス領で、もしEU加盟からイギリスが抜けたら国境が復活してしまう...ということと、昔は爆弾テロといえばIRAが代表格だったとか、そのくらいしか。 昔からいろいろと因縁がある両国というのはなんとなく知っているんですが、他に知っていることといえば昔、ジャガイモ飢饉でひどいことになったとかどうとか,,,
アイルランドのことをもっと知らないとこの映画を真の意味で理解することはできないのだろうとは思うのですが、それでもガツンと泣かされてしまいました。
あまりにも辛いから苦しいから、生き延びるために全てをおとぎ話のように変換してしまうパトリック。あまりにも無防備で、優しくされるとすぐについていってしまって簡単に利用されちゃう感じなのに、良心にしたがった時、何が正しいことなのかを見失わないでいられる芯の強さに好きにならずにはいられない感じだった。
祖国のためといったところでテロ行為になんの正しさもないことをそっと訴えかけてくる。 一番辛かったのは誰も傷つたことのないパトリックがテロの容疑で逮捕され、取り調べでひどく痛めつけられるところ。 もうここでボロボロ泣いてしまった。 この人がいったいどんな悪いことをしたというのか。 ただ普通に生きたかっただけなのに。 ありのままで愛されたかっただけなのに。 暴力には決然とNOを示してきたパトリック。 隠してあった銃だって湖に捨てた。 そしてどんなに脅されたって言わなかった。 暴力が大切な友達を永遠に奪ったあの日から、パトリックは正義という名の暴力を知っている。 こっちは真剣に国を思っているんだと罵倒されてもパトリックの目にはそれこそ歪な冗談にしか映らない。 ありのままの自分でいられない。 大好きな人たちが悲しんだり苦しんだりするせかいの何がただしいのか。
パトリックの母親さがしと居場所さがしはどこまでいっても救いがなく、このまま悲しいままで終わるのかと不安になってきてから、少しづつ好転しはじめる。 ますはパトリックをテロリストの一味として疑い、さんざん暴力をふるった刑事が心からパトリックの身を気遣う。そのおかげで、パトリックは固定の住所を持つことができて、幼馴染でいつだって大親友だった女の子チャーリーに手紙をかく。それをチャーリーが神父さんに伝える。 ほんの少しの優しさや勇気が大きな幸せに転がっていく。 そのあとも、また偏狭な概念に凝り固まった人々の手によってパトリックは大きな災難にまきこまれるのだけれど、でも、”愛”と”勇気”を手にしたパトリックはもう揺るがない。どこまでも強くしなやかに大切な人たちを幸せにするためにいきていく。
ラストで颯爽と歩いていくパトリックとチャーリーは最強でとんでもなくかっこいいと思った。
いつか原作も読んでみたい。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅:57%