スティーヴン・コンラッド脚本作品攻略視聴第3弾。
主人公はローカル局のお天気キャスター、デイヴィッド。タルタルソース事件が原因で妻と別居し、息子と娘とも離れて暮らしている。デイヴィッドの父親はピューリツァー賞も受賞した有名作家。その父親が末期癌を宣告される。全国ネット”ハローアメリカ“のオーディションの最終選考まで残ったデイヴィッドはなんとか父親に立派な息子と認められる、妻ともよりを戻して人生を立て直したいと奮闘するのだが....
涙腺直撃。今回も”こうありたかったはずなのに“と理想と現実のギャップに悶々としているデイヴィッド。父親に認められたい。アメリカで理想像とされる”男“になりたい、そのプレッシャーで押しつぶされる寸前の男だ。誰もが望みどおりの理想の人生を送れるわけではない。むしろそうでない方が多いのが人生かもしれないのに”理想“を成功を追い求める。しかし、達成したとしてもイコール幸せとは限らない。それでも人生は続くし、惨めだろうとなんだろうと進んで行かなくてはならない。
この脚本家は人生におけるあるある残念感を描くのがとてもうまい。そんなつもりではなかったのにいつのまにかそんなところにハマり込んでいる。一体どこで何をどう間違えたのかも判然としない。気がつけば時間だけが容赦なく過ぎ、子供の時に思い描いた、両親が手放しで誇りに思ってくれるような理想像にどう足掻いてもなれない自分を受け入れざるを得ない。受け入れ、折り合い、そして前に進む。それが人生なのだと父親がディヴッドに語りかけるシーンは絶品。
デイヴィッドはデイヴィッドなりによくやっている。だからといってうまくいくことの方が少ないのが人生だと自分を自己嫌悪のループから解き放てばいい。アメリカという国のなかで生まれ育つということ。アメリカという国の価値観、家族問題、イジメ問題、そんなことも細かく拾い上げながら、ゆるく優しく励ましつつ、背中を押してくれる映画だったように思う。
“Always fast food. Fast food. Things that people would rather throw out than finish. It's easy, it tastes all right, but it doesn't really provide you any nourishment. I'm fast food.”
“This shit life... we must chuck some things. We must chuck them... in this shit life. There's always looking after.”
”I remember once imagining what my life would be like, what I'd be like. I pictured having all these qualities, strong positive qualities that people could pick up on from across the room. But as time passed, few ever became any qualities that I actually had. And all the possibilities I faced and the sorts of people I could be, all of them got reduced every year to fewer and fewer. Until finally they got reduced to one, to who I am. And that's who I am, the weather man.“
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 59%