So Be It

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涙するまで、生きる (Far from Men)

 1954年、アルジェリア。ダリュは小さな学校でアルジェリアの子供達に読み書きを教えていた。ある日、ダリュは学校から歩いて1日ほど先にある街で裁判を受けさせるために殺人事件の容疑者であるモハメッドを護送するように命じられる。

涙するまで、生きる(字幕版)
 

 

 

 興味深い映画だった。舞台であるアルジェリアは当時フランス領。1954年はアルジェリアがフランスの支配下から脱しようとおこした独立戦争が勃発する年である。

 物語はアルジェリア各地でゲリラがフランス人を狙ってテロを起こしているらしいという不穏な情勢から始まる。物語が進むにつれて徐々に明らかになっていくのだが、主人公のダリュは第二次世界大戦後に軍を離れ、アルジェリアの先住民の子供達に読み書きを教える学校をはじめた。

 アルジェリアは1830年以降フランス支配下に入るが、先住民は差別抑圧されている状況。ダリュは彼らの言語も流暢に話す。それもそのはずでダリュはアルジェリアで生まれている。両親の代にアルジェリアに移住してきた、ダリュはアルジェリア生まれのスペイン人だった。しかし、アルジェリア人からはフランス人と呼ばれ、フランス人からはアルジェリア人と呼ばれる。どちらからもよそ者扱いされる身の上だ。

 第二次世界大戦中は少佐として連隊を率いていたダリュ。モハメッドを護送中にアルジェリアのゲリラに捕まるが、その中にはかつてフランス軍としてイタリア相手に共に戦った仲間や部下もいた。

 ダリュにとっての同胞の線引きは簡単ではない。複雑さがディフォルトのダリュにとって盲目的に目の前の掟に従うことは愚かしさでしかない。それを思い知ったからこそダリュはフランス軍として戦った第二次世界大戦後、軍を離れ先住民の子供たちに読み書きを教える学校をはじめたのだろう。

 ダリュはアルジェリアの独立のためにはじめたことだとゲリラを率いるかつての戦友に激白している。

 

 国も宗教も言語も文化も考え方も違うからといって、相手を理解する努力をやめていいという言い訳にはならない。個々人で面と向かって接してみれば、お互いの共通点や接点も案外たくさん見つけられる。自分がそう扱ってもらいたいように他人に対しても接することを心がける。そんなことの積み重ねで少しづつでも皆が住みよい世界を目指していくしかない。そんなことを考えさせられたりもした。

 ストーリーは至ってシンプル。暗くなりすぎることも、重たくなりすぎることもなく、見やすい映画だったように思う。

 それにしてもヴィゴ・モーテンセン氏は一体何各語習得しているのか。英語習得にもアップアップな身としては羨ましい限りである。

 

 IMDbにこの映画のジャンルが"Western"ともなっていたので、これも西部劇ジャンルになるの???とちょっと不思議に思ったら、ガンファイトものもWestern映画になるらしく...。でもガンファイトものだからって全部がWesternになるわけでもなさそうな気がするのだけど、どうなんだろう。ちょっと謎。

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 84%

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