いろんな意味で衝撃的な映画だった。
とても怖い映画だ。 スリラー的な意味でも、それから”そういう現実がある”とガツンと思い知らされたことでも。
とても怖い映画なのだがコメディである。
アメリカで暮らすアフリカンアメリカンの人なら思い切りわかるのであろう”あるある”ネタ満載だ。彼らであれば思い切り笑い飛ばせるのだろうが、彼らではないこちらとしてはそうはいかない。笑えたとしても落ち着かなかったり、ひやひやしたり。時にショックで愕然となったりする。
日常にひそむとんでもない緊張感。外からではわからない。その身になってみなければわからない。でも、おそらくは彼らなら誰でも一度や二度、いやもしかしたら日常的に体験しているのかもしれない緊張。それが時に命の危険にまで発展する可能性をはらんでいる。
今はまだまだ過渡期なのだとあらためて感じた。
アメリカでは顕著で見えやすいというだけで、どこの国でもつきまとう問題だし、アフリカンアメリカンの人たちだけがこの緊張感を感じているわけでもない。 そしてこの緊張感がさまざまな軋轢を生み、大きな悲劇をまねく第一要因になっているのが現実だ。 この作品では、見えにくい”緊張感”と”恐怖”をエンタメであることを保ちながら、こまやかにあぶり出し、その存在に気づかせてくれる。
Rod: I told you not to go in that house. I mean...
Chris: How did you find me?
Rod:I'm TS motherfucking A. We handle shit.That's what we do.
正直、もうだめだと思った。あの瞬間、”まずい”としか思えなかった。その怖さときたら本当に震撼ものだ。瞬間も怖かったし、怖いと思ってしまった根拠となる"現実”の異常さに一段と震撼とする。
なにはともあれ、運輸保安局をこのときほど頼もしくかっこよく感じたことはない。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅:98%