ハドソン川に飛行機が不時着したというニュースはなんとなく覚えている。一瞬、またテロがあったんだろうかとドキッとし、原因が鳥だったときいて、普通に事故だったんだとホッとし、さらに全員無事だったと知ったあとは、川に不時着して全員無事だったんだから腕のいいパイロットさんでお客さんたち本当に良かったね、と、そんな感じ。「ハッピーフライト」をみたあとだったりして、アメリカにはバードさんはいないんだろうかとか思ったような。
この映画をみて、まさか機長のサリーさんが事故調査でこんなに追い詰められてたのかとビックリした。
事故の原因はもちろん徹底して調べるべきだが、それにしてもサリーさんが事故調査のメンバーに詰問口調で追い詰めらていくさまには、彼らはサリーさんに何を言わせたいのかと腹が立ってきてしまった。だったら、あのまま堕ちとけば良かったんですか???💢と逆ギレしたくなる。マスコミの過熱取材、報道ぶりも腹がたってしまった。もう少し思いやりをもつことはできないんだろうかと。
1月のハドソン川に不時着するというのはNYの冬の寒さを考えれば、無事に着水できたとしても、乗客の命が危険にさらされている事実は変わらないんだということも、映画をみていて気がついて、改めて、機長、副機長、乗務員、救助に向かった人々、そして乗客の皆の気持ちが全て良い方向に合わさって物事がすすみ、みなが助かることができたのだなと、でも、もし、機長がハドソン川への不時着を間に合うタイミングで下し、機体が折れないよう着水成功させなければ…、そう思うと、やはりプロフェッショナルな、長年アナログで自分の感覚でフライトしてきたこの機長でなければ助からなかっただろうなと。
コンピュータ制御やAIの発展も、無事故を目指す人の努力の足跡なのだから、それはそれとして受け入れていかなくてはならないだろうけれど、経験に培われた"感覚"や"勘"の精度の高さを忘れてはいけないし、失ってはいけないものだと思った。だって電子機器が全然頼りにならないようなシチュエーションって絶対なくならないと思うんだなぁ。
それにしてもサリーさんの機長の鏡、プロフェッショナルの鏡、ボスとしての鏡ぶりには脱帽というか、ありがたすぎて拝みたくなる。立派な人っていうのはこういう人のことで、存在してくれていてありがとうと、もう謹んでお礼をいいたい。サリーさんの背中の後ろが世界で1番安全な場所に違いない。
本当に全員無事で良かった。その一言につきる。
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