可愛らしいほのぼの映画かなと思って何気なく見はじめたら、いやいやいや、なかなかのクセもの映画。
神様の娘である10才のエアちゃんが主人公。お父さんは神様なのだけど、本当に嫌なヤツを絵に描いたような嫌なヤツで、退屈しのぎに自分の創造物をいたぶって遊んでいる。エアちゃんのお兄ちゃんはイエス・キリストで、エアちゃんからお父さんをこらしめたいという相談を受け、新新訳聖書を書けばいいといい、そのためにも12人の使徒を18人に増やすことをアドバイス。エアちゃんは奇跡をおこすために、父親のパソコンから余命を知らせるメールを人類に向けて一斉送信する。突然、余命を知らされた人類はとにかく自分のやりたいことを優先するようになる。まったく自分を恐れなくなった人類に神様は怒り、エアを連れ戻そうと自らも下界におりたつのだが、口も素行も悪い神様は人類から袋叩きにされたりとさんざんなめにあう。
エアちゃんが使徒として選んだ6人をメインに余命を知った時、人は何を望むのかを描いていく。エアちゃんが起こす奇跡はモラルとは無縁。そこでいつもちょっと予測不能な展開に驚かされる。
使徒が18人になり女神様がパソコンのアドミンとなって無邪気に世界を変えていく様は、ハッピーエンドというか、もうとらわれなくていいじゃん、と開き直って高笑いしたくなるというか。ちょっと宮崎駿の「ハウルの動く城」のエンディングを思い出した。「こんな戦争さっさと終わらせちゃいましょ!」とあっさり好転させるあっけらかんさ。さっきまで深刻に悩んだり、不安がっていたことが全てバカバカしくなってくる。
余命を知らされたら、とんだ長寿とわかって喜んだり、逆に余命がまだあるからとわざと高所からとびこむなと、命をおとすような行為にチャレンジしたり、たしかにそういうことありそうと笑ったり頷かされてみたりで面白かった。
フランス映画のテンポに慣れてないし、聖書にも詳しくない。アート的表現にちょっととっつきにくいと感じたりもしたし、正しく理解できたのかも甚だこころもとないが、それでも最後まで見て良かったと思える映画。
やはり女神の逆転劇は爽快。あと神様がめっちゃ嫌なヤツなんだけどなんとなく憎みきれない魅力と面白さがあった。いなきゃ寂しい…かも。あのあと神様どうなったんだろう。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 81%