いい意味で深く考えずシンプルに楽しめる映画。
ジミーはかつて周囲を震撼とさせた冷徹非情な腕利き殺し屋。いまはすっか落ちぶれた呑んだくれで、彼の戦友でありボスのショーンの温情でかろうじて生活できているようなもの。しかしジミーの息子マイクがショーンの息子ダニーが人を殺す現場を目撃してしまい、そのためダニーから命を狙われる。ジミーはマイクを守るため、ダニーを殺害。ショーンは息子の仇討ちとマイクとジミーの殺害を命令。街中が敵となって親子を追撃してくる。
一夜限りの物語である。ジミーの過去、ショーンとの関係、刑事との抗争、家族との確執、マイクとの関係、いろいろとあったのだろうと想像させる過去の果てのこの一夜だ。
マイクはカタギで妊娠中の奥さんと2人の娘がいる。父親の素性にもかかわらず、彼はささやかながらも至極真っ当で幸せな生活を着実に築きあげていた。
殺人を目撃してしまったことで事態は一転。ずっと嫌っていた父親の世界が問答無用で襲いかかってくる。ジミーにはマイクの身柄を守ることも大切だが、さらに彼に一線を越えさせないことも重要だ。ジミーは持てる力の全てを振り絞ってマイクを守るために戦う。マイクにとっては人生で父親と1番長く過ごした時間だ。一夜という限られた時間で目まぐるしく事態は進展していく。
アクションに次ぐアクション。カメラワークにも強いこだわりを感じた。やや凝りすぎと感じる場面もあったが、美しくはあったし、ロマンも感じた。
つまるところ、ある男の”有終の美“、そういったものを描きだしたかったのかもしれない。
が、特に深く考えずに委ねて楽しめばいい映画というきがする。“馴染みの定食” の安心感。そういうのが無性に食べたくなる時だってあるのだ。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅:58%