相変わらずレプリカントがどういう存在なのかよくわからなくて、そこを悶々と悩んでしまう。
ロボットでもクローンでもなくて。骨に製造ナンバーがあるということは骨から組み立てているってことだよねぇ??とか、益体も無いことについつい思考が向かいがちになる。でもこれは別に映画を責めているわけではなくて、“ん?私何か見逃した? 聴き逃した??”と自分はこの物語をきちんと辿れているのだろうかという心細さからついつい瑣末なことまで気になってしまうのだ。
旧作を見た時に感じたもう少しテンポアップして語ってくれたら面白く見れるのにと睡魔を呼び寄せる呪わしきスロー感は今回も踏襲されていて、いやそこは受け継がなくてもと心で泣きつつ、この空気感を出すには必要なことなんだろうと自分に言い聞かせる。
細かいことはさておき、目の前のストーリー“K”にまつわる物語のあまりの切なさになんともやるせない気持ちにさせられる。
”K“のデッカードへ繋がっていく旅と結末。
A.I.のジョイとのラブストーリー。
どちらも胸苦しくなるほどに哀しくやりきれない。人魚姫が王子との恋に破れ結局泡に戻ってしまった時のような切なさ、幸福な王子に出てくるツバメがついに力つき、王子の足元で死んでしまった時に感じるなんとも言えないやるせなさに似たものを感じた。
哀しいが美しい。
どうにか彼らが幸せになれる方法はなかったのかというやりきれない苛立ちもある。SFというよりは未来のおとぎ話を味わった感覚だ。
また時間をおいて鑑賞してみたい。
私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5
🍅: 87%