So Be It

ネタバレを含んでいますのでご注意ください

12モンキーズ (Twelve Monkeys )

ドラマの12モンキーズがとても面白かったので元版であるこの映画を視聴。

12モンキーズ(字幕版)

12モンキーズ(字幕版)

 

 

 

あらすじ
ジェイムズ・コールは特赦を条件に1996年に人類50億人を殺すことになるウィルスについての情報をタイムマシンで過去に戻って調べてくるよう命じられる。ジェイムズは1990年に送りこまれた上、精神病院に送られてしまう。治療のため薬を大量に投与されジェイムズ自身、自分が人類を恐ろしいウィルスから守るために未来からきたのが事実なのか妄想なのかがわからなくなっていく。

感想
 ドラマ版と異なって、ジェイムズが未来から来てウィルスの拡散を止めに来たのが、事実なのかそれとも彼の妄想にすぎないのかが見ている側にも確信がなかなか持てない。私も途中何度も映画版は妄想オチかと思いかけた。

 そのせいかかなりもやもやしながら見ていくなかで、ジェイムズが何度も夢見る子供の時の記憶が何であるかが明らかになった時の衝撃を味わえなかったのは、やはり先にドラマ版を見てしまったせいだろう。この時味わうべきカタルシスを味合わずしてこの映画の真価を図ることはできないのではないかと思う。少なくとも私にはその資格はない。

 正直なところを言えば、執拗なまでの狂気の描写に食傷してしまい誰にも共感できなかった。ドラマ版でどのキャラクターにも感情移入しまくっていた身からすればこれはかなりもどかしい。比べるべきではないとわかっていても、完全にシャットアウトできるような器用さはない。

 それでもラストの苦々しさややるせなさはそれなりに感じられた(推察できたという方が正しいかもしれない)。ああこれは切ないなと思ったが、同時に“もっとこうしてくれていればもっと泣けたのに”と思ったりした。

 この“もっとこうしてくれていれば”の部分に最大限にスポットを当てて物語を展開させたのがドラマ版12モンキーズで、私にとってみれば痒いところに手がゆき届きまくった作品だ。もっとも好みの問題なのでそのメロドラマ風仕立てを嫌う人も多いだろうことはわかる。

 話は映画版に戻るが、どこまでが妄想か現実なのかをわざとわかりにくする演出だったとしても、未来と現在、どちらも正気とは思えない世界観で描かれていて、なんというかあまり見ていて気持ちのいいものではなかった。

 もう少しジェイムズ・コールに感情移入できて、その上で彼が正気なのかそれとも全ては妄想なのかというところを見ているこちら側もどっちなんだーと悶々とできる感じにするか、もしくは、もっとライリー博士側目線で進行してジェイムズ・コールをどう受け止めるか悶々とする感じか、狂気が普通に蔓延するあの世界観の中でなにか拠り所がもてればよかったのだが、それがなかったためにやや迷子になってしまった感がある。しかし、その拠り所のない不安感が狙いなら成功と言えるわけで。もうこの辺りは好みの問題なのかなぁ、とよくわからない。2時間強の長さでありながら見終わって受けた感覚はショート・ショートを読んだあとの感覚に少し似ていた気もする。

 とはいえ、この不可思議な世界観の中、ドラマ版で描かれたタイムループものとしての切なさやるせなさ爆裂の物語がすべて詰まっていて表現されていたことを思えば、やっぱりすごい映画なのだと思う。荒唐無稽の一歩手前のように感じられるこの映画においてもライリー博士とコールの関係はとてもドラマチックでしびれるようなロマンチックさがあったと思う。

 真っ白な状態でこの映画と出会ってみたかったなと、ちょっと残念。

 

私の好き度:⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 88%

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